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相続6分で読めます執筆: 森 信幸代表取締役

二次相続で税負担が急増する理由と今からできる対策

二次相続で税負担が急増する理由と今からできる対策

「配偶者控除で節税できた」が後で裏目になる

親が亡くなったとき、多くの人は「配偶者(もう一方の親)にできるだけ多く相続させよう」と考えます。配偶者には「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」という強力な節税制度があり、法定相続分または1億6,000万円のどちらか多い金額まで相続税がかからないからです。

しかし実は、一次相続でこの控除を最大限に使うと、二次相続(配偶者が亡くなった時の相続)で相続税の負担が急増するリスクがあります。

この記事では、一次・二次相続の税負担の違い、二次相続が「割高」になる理由、そして今からできる対策を解説します。


一次相続と二次相続の違い

一次相続:夫婦のどちらか一方が亡くなり、配偶者と子が相続するケース

二次相続:一次相続で残った配偶者が亡くなり、子のみが相続するケース

二次相続が問題になる理由は主に2つです。

  • 一次相続で配偶者に多くの財産を移すと、二次相続の課税対象財産が増える
  • 二次相続では配偶者控除が使えず、基礎控除額も減る

  • 基礎控除額が減るという問題

    相続税の基礎控除額は次の式で計算します。

    ```

    基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

    ```

    一次相続(相続人:配偶者+子2人の場合)

    基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円

    二次相続(相続人:子2人の場合)

    基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 2人)= 4,200万円

    相続人が1人減るだけで、基礎控除が600万円減ります。これは二次相続で課税対象財産が増えることを意味します。


    配偶者控除の落とし穴:シミュレーションで比較

    前提条件

  • 父(被相続人)・母(配偶者)・子2人
  • 父の遺産総額:1億2,000万円
  • 一次相続:父死亡、母と子が相続
  • 二次相続:母死亡、子のみが相続
  • パターンA:一次相続で配偶者控除を最大限使う

    一次相続

    母が全額(1億2,000万円)を相続 → 配偶者控除で相続税ゼロ

    子の相続税:0円

    二次相続

    母の財産(1億2,000万円+母自身の財産1,000万円)= 1億3,000万円

    基礎控除:4,200万円(子2人)

    課税対象:1億3,000万円 ー 4,200万円 = 8,800万円

    子2人の相続税合計:約1,680万円

    パターンB:一次相続で法定相続分に近い分割をする

    一次相続

    母が6,000万円、子が各3,000万円ずつ相続

    配偶者控除後の相続税:約450万円(子の分のみ)

    二次相続

    母の財産(6,000万円+母自身の財産1,000万円)= 7,000万円

    基礎控除:4,200万円

    課税対象:7,000万円 ー 4,200万円 = 2,800万円

    子2人の相続税合計:約280万円

    | | パターンA(配偶者に全額) | パターンB(法定相続分) |

    |--|--|--|

    | 一次相続の相続税 | 0円 | 450万円 |

    | 二次相続の相続税 | 1,680万円 | 280万円 |

    | 合計税負担 | 1,680万円 | 730万円 |

    一次相続で節税しようとした結果、合計税負担が約950万円も多くなりました。


    二次相続の税負担が増える主な理由

  • 配偶者控除が使えない:二次相続では、子のみが相続人のため配偶者控除の出番がない
  • 基礎控除が減る:相続人が1人減ることで基礎控除が600万円減る
  • 課税対象財産が増える:一次相続で配偶者に集めた財産がそのまま二次相続の対象になる
  • 累進課税の影響:財産が多いほど税率が高くなるため、まとめて相続すると税率も上がる

  • 今からできる二次相続対策

    対策1:遺産分割の設計(一次相続での配分を見直す)

    一次相続の段階で、配偶者にすべてを相続させるのではなく、法定相続分(2分の1)程度を目安に配偶者と子に分割する設計を検討します。一次・二次相続の合計税負担を税理士に試算してもらい、最適な配分を探ることが重要です。

    対策2:生前贈与の活用

    配偶者(母)が存命のうちに、子や孫へ生前贈与を行うことで、二次相続の課税財産を減らすことができます。

    暦年課税(基本)

    年間110万円の基礎控除内であれば、贈与税がかかりません。毎年コツコツと贈与を続けることで、課税財産を圧縮できます。

    相続時精算課税制度(2024年改正)

    2024年から、年間110万円の基礎控除が新設されました。この制度を活用すると、毎年110万円は申告不要で贈与でき、さらに2,500万円の特別控除枠も使えます。

    注意点:2024年改正により、相続開始前7年以内の贈与は原則として相続財産に持ち戻される「生前贈与の加算期間」が延長されました(改正前は3年以内)。早めに贈与を始めることが有効です。

    対策3:養子縁組による基礎控除の増加

    孫などを養子にすることで、法定相続人の数が増え、基礎控除額が600万円増やせます。ただし、孫養子は二次相続の相続税が2割加算される規定があること、孫を養子にすることによる家族関係への影響なども考慮が必要です。

    対策4:生命保険の活用

    生命保険の死亡保険金は「500万円 × 法定相続人の数」まで相続税が非課税です。二次相続を見越して、配偶者を被保険者・子を受取人とした生命保険を活用することで、二次相続時の非課税枠を確保できます。

    対策5:不動産の活用

    現金や預金は評価額そのままですが、不動産(土地・建物)は路線価や固定資産税評価額で評価されるため、一般的に時価より低くなります。さらに賃貸に出すことで「貸付事業用宅地等の特例」や「借地権割合・借家権割合による評価減」も活用できます。


    仙台市での不動産評価のポイント

    仙台市青葉区の中心部(錦町・上杉エリアなど)は路線価が高く、不動産評価額も高くなります。一方で小規模宅地等の特例(最大80%減額)を活用することで、相続税の大幅な圧縮が可能です。

    相続対策として仙台市内で収益物件(アパート・マンション)を所有しておくことは、二次相続時の課税財産圧縮という観点でも有効な手段の一つです。


    まとめ

  • 一次相続で配偶者控除を最大限使うと、二次相続の税負担が増えることがある
  • 基礎控除の減少・配偶者控除の不適用・課税財産の増加が主な原因
  • 一次・二次相続の合計税負担をシミュレーションして分割を設計することが重要
  • 生前贈与・生命保険・不動産活用・養子縁組など対策は複数ある
  • 早めに専門家(税理士)に相談することで選択肢が広がる
  • エムアセッツでは、相続を見据えた不動産の活用・売却に関するご相談を承っています。税理士との連携も含め、総合的な相続対策をサポートします。

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