不動産所得と確定申告の基本
賃貸物件を所有するオーナーは、毎年の確定申告で不動産所得を申告する必要があります。不動産所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算され、他の所得(給与所得など)と合算して課税されます。
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。適切な経費計上と申告方法の選択により、合法的に税負担を軽減できるため、正しい知識を身につけておくことが重要です。
不動産所得の計算方法
総収入金額に含まれるもの
不動産所得の総収入金額には、以下の項目が含まれます。
なお、敷金は預り金であるため、返還時に返す部分は収入に含まれません。ただし、原状回復費用として差し引いた部分は収入に計上します。
必要経費として認められる項目
不動産所得の計算上、以下の支出を必要経費として計上できます。
固定的な経費
変動的な経費
減価償却の基本
減価償却とは
建物は年月の経過とともに価値が減少します。この価値の減少分を毎年の経費として計上するのが減価償却です。土地は減価償却の対象にはなりません。
構造別の法定耐用年数
建物の構造によって法定耐用年数が定められており、この年数に基づいて減価償却費を計算します。
計算方法
個人の不動産所得では定額法が原則です。
年間減価償却費 = 建物取得価額 × 償却率
たとえば、取得価額5,000万円の重量鉄骨造(耐用年数34年、償却率0.030)の場合、年間の減価償却費は150万円となります。この金額を毎年経費として計上できます。
青色申告と白色申告の違い
青色申告のメリット
青色申告を選択すると、以下のメリットがあります。
青色申告の要件
事業的規模(おおむね5棟10室以上)でなくても青色申告は可能ですが、10万円の控除のみとなります。65万円控除を受けるには事業的規模であることが要件です。
節税のポイント
修繕費と資本的支出の判断
リフォーム費用が「修繕費」として一括経費計上できるか、「資本的支出」として減価償却すべきかは、よくある悩みのひとつです。
修繕費(一括経費)の要件
資本的支出(減価償却)となるケース
経費の漏れを防ぐ
確定申告で経費の計上漏れがないよう、以下の点に注意しましょう。
個人事業税への注意
不動産所得が290万円を超える場合、個人事業税(税率5%)が課される場合があります。事業的規模の判定基準は所得税とは異なるため、都道府県の基準を確認しましょう。
確定申告の手順
必要な書類
申告方法
よくある間違いと注意点
損益通算の制限
不動産所得の赤字は給与所得等と損益通算できますが、土地の取得に要した借入金の利息部分は損益通算の対象外です。建物部分のローン利息のみが損益通算可能な点に注意が必要です。
消費税の取り扱い
住宅の貸付けは消費税が非課税ですが、テナント(事務所・店舗)の貸付けは課税対象です。課税売上高が1,000万円を超える場合は消費税の申告・納付義務が発生します。
まとめ
不動産所得の確定申告は、正しい知識を持って取り組めば合法的な節税が可能です。特に青色申告の活用、減価償却の正確な計算、経費の適切な計上は税負担を大きく左右します。
不明点がある場合は、不動産に詳しい税理士に相談することをおすすめします。初回相談は無料で受け付けている税理士事務所も多く、専門家のアドバイスは投資回収以上の価値があります。
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著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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