「相続した実家をそのままにしているが、税金が高くなると聞いた」「誰も住んでいない家の維持費がかさんでいる」——こうした悩みを抱える方が仙台市内でも増えています。空き家問題は全国的な課題ですが、2023年の空家等対策特別措置法改正により、「管理不全空家」という新たな区分が加わり、特定空家に至らない段階でも固定資産税の優遇が失われるリスクが生じました。本記事では、仙台在住の空き家所有者が知っておくべき制度の仕組みと、具体的な対処策を解説します。
固定資産税が「6倍」になる仕組み
まず、「固定資産税が6倍になる」という話の仕組みを理解しましょう。
住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税の計算において「住宅用地特例」という優遇措置が適用されています。具体的には、200平方メートル以下の小規模住宅用地は固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に、200平方メートル超の部分は3分の1になります。つまり、家が建っているだけで土地の税負担が大幅に軽減されているわけです。
しかし、この特例は「住宅が適切に管理されている」ことが前提です。空き家が「特定空家」または「管理不全空家」に指定され、行政から勧告を受けると、この住宅用地特例が解除されます。その結果、土地の課税標準が最大で従来の6倍になるという計算です(実際には建物部分の税負担もあるため、総税負担の増加率は物件によって異なります)。
特定空家・管理不全空家の指定基準
2023年改正で整理された区分は以下の通りです。
特定空家とは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」「著しく景観を損なっている状態」「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態」のいずれかに該当する空き家です。屋根や外壁が崩れかけている、不法投棄されたゴミが堆積している、野生動物が棲みつき近隣に被害が出ているといったケースが典型例です。
管理不全空家(2023年新設)は、特定空家になる前段階として、「放置すれば特定空家に該当するおそれがある」と市区町村が認定した状態です。外壁の一部剥落、雑草の繁茂、窓ガラスの破損など、まだ危険とまでは言えないが管理が行き届いていない状態が対象です。
行政の手続きとしては、まず「指導」→応じない場合に「勧告」という流れになります。勧告を受けた段階で住宅用地特例が解除されます。特定空家の場合はさらに「命令」→「行政代執行」(強制解体)という段階もあります。
仙台市の空き家対策の現状
仙台市は2016年に「仙台市空き家等の適切な管理及び活用の促進に関する条例」を制定し、独自の空き家対策を進めています。市内の空き家件数は、国勢調査・住宅・土地統計調査のデータによると2020年時点で約6万戸超と推計されており、特に郊外・山沿いエリアで増加傾向にあります。
仙台市では、空き家の利活用を促進するため、「仙台市空き家・空き地バンク」を運営しています。売却・賃貸を希望するオーナーが物件を登録し、移住希望者や起業家とのマッチングを図る仕組みです。また、空き家の解体に際しては、一定条件を満たす場合に補助金が交付される制度もあります(年度によって内容が変わるため、最新情報は仙台市の公式サイトで確認してください)。
仙台特有の課題として、積雪・凍結による建物の傷みが早いことが挙げられます。誰も住んでいない家は暖房が入らず、特に配管の凍結・破裂や、雪の重みによる屋根の損傷が起きやすい環境です。こうした劣化は管理不全空家の認定を早める要因になります。
具体的な回避策:最低限の管理から売却まで
空き家が管理不全・特定空家に認定されないための対策は、大きく「最低限の管理継続」「活用」「売却・解体」の三つです。
最低限の管理継続は、定期的な見回りと清掃が基本です。月1〜2回の草刈り・落ち葉清掃・外観確認だけでも、管理が行き届いていない印象を防げます。遠方に住んでいる場合は、近隣の管理業者や専門の空き家管理サービスへの委託(月1〜3万円程度)が現実的な選択肢です。冬季は凍結防止のために水道の元栓を閉め、残水を抜く「水抜き」処理を確実に行うことが重要です。
活用としては、賃貸・民泊・駐車場転用などがあります。老朽化が進んでいてもリノベーション費用を掛けて賃貸に出すことで、固定資産税の節税と空き家管理コストの削減を同時に実現できます。また、建物を解体して更地にし駐車場として活用する方法もありますが、この場合は住宅用地特例がなくなるため土地の固定資産税が上がる点に注意が必要です。
売却は、管理コストを完全に解消できる根本的な解決策です。築古・傷みのある建物でも、解体前提の土地需要・投資家向け需要が存在します。相続した物件で名義が被相続人のままになっているケースも多く、その場合は相続登記(2024年から義務化)を先に行う必要があります。
今すぐやるべき確認ステップ
空き家を所有している方が今すぐ取り組むべきことをまとめます。
①現状確認:物件を実際に見に行き、外壁・屋根・窓ガラス・雑草の状態を確認します。近隣から苦情が出ていないかも確認しましょう。
②行政への問い合わせ:仙台市から「指導」や「勧告」の文書が届いていないか確認します。届いている場合は早急に対応が必要です。
③維持か売却かの判断:維持にかかるコスト(固定資産税・管理費・修繕費)と、売却した場合の収益を比較します。相続税の申告期限や、今後の固定資産税負担増のタイムラインも考慮してください。
空き家の取り扱いに迷っている方は、ぜひ一度専門家に相談することをお勧めします。エムアセッツでは、仙台市内の空き家に関する売却・活用の相談を承っています。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。その他の関連記事はコラム一覧からご覧いただけます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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