賃貸物件の「用途変更」とは
建築基準法における「用途変更」とは、建物の使用目的を変更する行為を指します。例えば、住宅として建てられた建物を事務所・店舗として使用する場合や、その逆のケースが該当します。
仙台市でも、住宅地の一角にある空き家や賃貸住宅を事業者が事務所・サロン・教室として借りたい、またはオーナーが既存の住居用アパートをSOHO物件や店舗として活用したいというニーズが増えています。あらかじめテナント利用を想定した区画を備えた物件を選ぶという選択肢もあり、例えばテナント募集 レヴール仙台錦町のように、用途変更の手続きを経ずに事務所・店舗利用を前提とした募集区画を借りる方法もあります。
用途変更には建築基準法上の確認申請(一定規模以上)、建物賃貸借契約での使用目的の変更、近隣・行政との調整など複数の手続きが絡み合います。
建築基準法上の用途変更確認申請
申請が必要になるケース
延床面積が200㎡を超える建物で用途を変更する場合、建築確認申請が必要です(2019年6月の建築基準法改正以降、旧来の100㎡から200㎡に引き上げ)。
住居(戸建て・集合住宅)を次の用途に変更する場合は申請が必要になります。
- 事務所(200㎡超)
- 飲食店・物販店舗
- ホテル・旅館
- 病院・診療所
仙台市の建築指導課(市役所本庁舎内)への事前相談を通じて申請の要否を確認してください。
200㎡以下の小規模物件
住居を事務所に変更する場合で、延床面積200㎡以下であれば確認申請は不要です。ただし、消防法や条例による制限が適用されることがあります。
建築物のカテゴリと構造上の制約
建物の構造・用途によっては、用途変更が物理的に困難なケースがあります。
防火・耐火要件
飲食店・物販店舗への変更では、内装制限(壁・天井の不燃化)・排煙設備・避難設備の整備が必要になることがあります。木造の住宅を飲食店に転用する場合は、大規模な改修が必要になることもあります。
構造的な荷重制限
事務所・倉庫用途では床面積あたりの積載荷重要件が住宅より高い場合があり、構造計算での確認が必要です。
用途地域による制限
仙台市内の用途地域によっては、事務所・店舗として使用できる地域・できない地域があります。
| 用途地域 | 事務所 | 店舗 |
|---|---|---|
| 第1種低層住居専用地域 | 50㎡以下の小規模事務所のみ可 | 一部のみ可 |
| 第1種中高層住居専用地域 | 一定規模まで可 | 一部可 |
| 第1種住居地域 | 3,000㎡以下可 | 3,000㎡以下可 |
| 準住居・商業・近隣商業地域 | ほぼ可 | ほぼ可 |
仙台市都市整備局の窓口またはWebの用途地域マップで、対象物件の用途地域を確認してください。青葉区上杉・青葉区錦町・宮城野区・若林区荒井など、エリアによって用途地域の傾向が異なるため、青葉区上杉エリアの物件や青葉区錦町エリアの物件、宮城野区エリアの物件、若林区荒井エリアの物件のように、エリア別に物件を比較検討するのも有効です。
賃貸借契約上の注意点
建築基準法の要件を満たしても、賃貸借契約上の「使用目的」が住居に限定されている場合は、テナントが勝手に事務所・店舗として使用することはできません。
契約変更の手順
- 入居者がオーナーに用途変更を申請・相談する
- オーナーが建築基準法・用途地域・保険(火災保険)の変更要否を確認する
- 合意できれば賃貸借契約の覚書で使用目的を変更する
- 必要に応じて建築確認申請・消防届出等を実施する
賃料の見直し
住居用から事務所・店舗用への用途変更に伴い、賃料・保証金を見直すのが一般的です。商業用途では住居用より高い賃料・保証金が設定されるほか、消費税(インボイス制度)への対応も必要になります。
保険の更新
火災保険は建物の用途(住居・事務所・店舗)によって補償内容・保険料が異なります。用途変更後は保険会社に用途変更を届け出て、必要に応じて保険内容を変更してください。無申告のまま用途変更した場合、火災発生時に保険金が支払われないリスクがあります。
仙台市でのSOHO利用・在宅ワーク的利用の扱い
住居用賃貸物件でのSOHO(自宅兼事務所)利用については、建築基準法上の用途変更申請が不要な場合がほとんどです(住居としての使用が主で、事業利用が補助的な場合)。
ただし、多数の取引先や顧客が頻繁に来訪する場合や、表札に会社名を掲示する場合などは、実質的に事務所・店舗化していると判断されることがあります。オーナーへの事前相談と契約上の確認が推奨されます。
まとめ
仙台の賃貸物件での用途変更は、建築基準法・用途地域・賃貸借契約の3つの観点から確認が必要です。200㎡以下の小規模物件への事務所転用は比較的ハードルが低い一方、飲食店・物販店舗への転用は防火要件や用途地域制限の確認が欠かせません。オーナー・入居者ともに早めに仙台市建築指導課や専門家に相談し、法的に問題のない形で用途変更を進めることが重要です。
事務所・店舗利用を前提とした物件をお探しの場合はテナント募集情報はこちら、住居用物件をお探しの場合は所有物件一覧はこちらからご確認いただけます。用途変更や物件に関するご不明点はよくある質問もあわせてご覧のうえ、お問い合わせはこちらよりお問い合わせください。他の記事は不動産コラム一覧からご覧いただけます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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