親族間売買とはどのような取引か
「親族間売買」とは、親子・兄弟姉妹・祖父母と孫など、親族のあいだで不動産を売買する取引のことです。仙台でも、実家を離れて暮らす子が親の家を買い取る、兄弟で分けにくい相続不動産を一方が他方から買い取る、といった場面で親族間売買が検討されることがあります。第三者間の売買と同じ「売買」ではあるものの、価格の決め方・ローンの通り方・税務上の特例の扱いなど、いくつかの点で通常の取引とは異なる注意点があります。
親族間だからこそ「口約束で済ませてしまいがち」という落とし穴もあります。しかし後々のトラブルを避けるためには、親族間売買であっても不動産会社や司法書士・税理士など専門家を交えて、通常の売買と同様に契約書を作成し、登記や資金の流れを明確にしておくことが欠かせません。
住宅ローンが使いづらい理由
親族間売買で最初に直面しやすいのが、住宅ローンの利用のしづらさです。多くの金融機関は、親族間売買を住宅ローンの対象外としているか、審査を厳格化しています。フラット35にも親族間売買の取り扱いについて条件があるため、利用を検討する場合は事前に取扱金融機関へ確認する必要があります。
金融機関がこうした取引に慎重になる背景には、購入価格が市場価格からかけ離れて低く設定されやすく、実質的に贈与に近い取引になっていないかを見極めにくいという事情があります。融資を検討する場合は、通常の売買と同じように不動産会社による査定や、必要に応じて不動産鑑定士による鑑定評価を取得し、価格の妥当性を客観的に示せるようにしておくと、金融機関との協議が進めやすくなります。
価格が低すぎると贈与税がかかるリスク
親族間売買で特に注意したいのが「低額譲渡」の問題です。市場価格より著しく低い価格で不動産を売買した場合、売買価格と本来の時価との差額分について、買主が贈与を受けたものとみなされ、贈与税の課税対象になる可能性があります。これを避けるためには、次のような対応が有効です。
- 不動産会社に査定を依頼し、周辺の取引事例や相場に基づいた妥当な価格を確認する
- 必要に応じて不動産鑑定士による鑑定評価を取得し、価格の根拠を残しておく
- 「相場より安くしたい」という希望がある場合は、価格を下げる代わりに贈与税の非課税枠や特例の活用を税理士に相談する
「親族だから多少安くしても問題ないだろう」という感覚で価格を決めてしまうと、後から思わぬ贈与税の通知を受けることがあるため、価格の妥当性を示せる資料を残すことが重要です。
税務上の特例が使えない場合がある点
不動産を売却したときの譲渡所得税を軽減する特例には、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除など複数の制度があります。このうち3,000万円特別控除は、親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売った場合には使えず、生計を一にする親族や、売った後にその家屋で同居する親族なども「特別の関係がある人」に含まれます(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。誰との売買であれば特例の対象になるのか、あるいは対象外になるのかは取引の相手や状況によって細かく判断が分かれるため、親族間売買を検討する段階で税理士に確認しておくことをおすすめします。特例が使えると思って契約を進めた後に対象外だと分かると、想定していた納税額が大きく変わってしまう可能性があります。
仙台で親族間売買を進める際の実務ポイント
親族間売買を進める際は、次のような点を押さえておくと安心です。
- 口約束で済ませず、売買契約書を作成し、所有権移転登記を必ず行う
- 価格の根拠(査定書・鑑定評価書など)を保管しておく
- 融資が必要な場合は、親族間売買に対応できる金融機関やローンの種類を早めに確認する
- 税務上の取り扱いについて、契約前に税理士へ相談する
- 他の相続人がいる場合は、後日「不当に安く売った・買った」と言われないよう、事前に他の親族へも状況を共有しておく
親族間の取引は、感情的な事情が絡みやすく、第三者間の売買以上に「言った・言わない」のトラブルが起きやすい面があります。仙台で親族間売買を検討している場合は、不動産会社に価格の相場感を確認したうえで、司法書士による登記手続き、税理士による税務確認をセットで進めることが、後々の親族関係を守ることにもつながります。
まとめ
親族間売買は、通常の不動産売買と同じ「売買」でありながら、住宅ローンの利用しづらさ、低額譲渡による贈与税リスク、税務上の特例が使えない場合がある点など、独自の注意点を持つ取引です。仙台で親族間の不動産売買を考えている場合は、価格を客観的な根拠に基づいて決め、契約書と登記をきちんと整え、融資や税務については早い段階から金融機関・税理士に相談しておくことが、トラブルを避けながら円滑に取引を進めるための基本になります。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。掲載中の7棟はすべてペット可で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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