ハザードマップとは
ハザードマップとは、自然災害による被害の予測範囲や避難場所・避難経路を地図上に示したものです。国土交通省や各自治体が作成・公開しており、住民が自分の住むエリアの災害リスクを把握し、適切な防災行動をとるための重要な資料です。
2020年の宅地建物取引業法施行規則の改正により、不動産取引の重要事項説明において水害ハザードマップの説明が義務化されました。これにより、住まい選びにおけるハザードマップの重要性はさらに高まっています。
仙台市のハザードマップの種類
仙台市では、主に以下のハザードマップが公開されています。いずれも仙台市の公式サイトからダウンロード可能です。
1. 洪水ハザードマップ
河川の氾濫による浸水想定区域を示したマップです。仙台市内を流れる主な河川と、それぞれの洪水リスクを理解することが重要です。
仙台市内の主な河川
- 広瀬川:仙台市中心部を流れる一級河川。青葉区から若林区にかけて流域が広がる
- 名取川:仙台市南部を流れる一級河川。太白区から若林区にかけて影響範囲が広い
- 七北田川:仙台市北部を流れる二級河川。泉区から宮城野区にかけて流域が広がる
- 梅田川・六郷堀など:中小河川も局地的な浸水リスクがある
洪水ハザードマップは、想定最大規模降雨(おおむね1000年に1回程度の確率で発生する降雨)に基づいて作成されています。浸水深は色分けで表示され、0.5m未満から5m以上までの段階で示されています。
2. 土砂災害ハザードマップ
がけ崩れ・地すべり・土石流の危険がある区域を示したマップです。仙台市内では、丘陵地や山間部に土砂災害警戒区域が指定されています。
土砂災害リスクの高いエリアの傾向
- 青葉区西部(作並・定義方面の山間部)
- 太白区南西部(秋保・生出方面)
- 泉区北西部(根白石・福岡方面)
- 住宅地に隣接する急傾斜地
宮城県の「土砂災害警戒区域等の指定」情報と合わせて確認することをおすすめします。
3. 津波ハザードマップ
東日本大震災の教訓を踏まえ、最大クラスの津波を想定した浸水区域を示したマップです。
津波リスクのあるエリア
仙台市内で津波リスクが想定されるのは、主に以下のエリアです。
- 宮城野区東部:仙台港周辺、蒲生・岡田地区
- 若林区東部:荒浜・藤塚・六郷地区
- 太白区東部:名取川河口周辺
仙台東部道路(仙台東部有料道路)より東側のエリアは、東日本大震災時に実際に津波浸水が発生したエリアであり、現在も注意が必要です。
4. 内水ハザードマップ
下水道の排水能力を超える降雨による浸水(内水氾濫)を示したマップです。河川から離れたエリアでも、局地的豪雨により道路冠水や床下浸水が発生する可能性があります。
エリア別の災害リスク特徴
青葉区
仙台市の中心部を含むエリアです。広瀬川沿いの低地部は洪水リスクがありますが、台地上の上杉・錦町・北四番丁周辺は地盤が比較的良好で、浸水リスクは低い傾向にあります。広瀬川の河岸段丘は高低差が大きく、川沿いの崖線より一段上がった住宅街(上杉台地エリア)は地形的に洪水到達リスクが低く、古くから住宅地として整備されてきた背景があります。西部の山間地域では土砂災害に注意が必要です。
宮城野区
仙台平野の東部に位置し、標高が低い地域が多いため、洪水・津波のリスクに注意が必要です。特に海岸部は津波リスクが高く、内陸部でも七北田川・梅田川沿いでは洪水リスクがあります。一方、JR仙台駅東側の台地上エリア(鉄砲町・中野栄周辺)は地形的に周辺より標高が高く、洪水・津波のリスクが相対的に低め。同区の物件選びでは東西の地形差を確認することが重要です。宮城野区エリアの物件はこちらからご確認いただけます。
若林区
広瀬川と名取川に挟まれた低地が多く、洪水リスクのある区域が広がっています。東部の沿岸部は津波リスクも高い地域です。一方、荒井駅周辺は地下鉄東西線の終端として整備が進んだエリアで、台地上に位置するため浸水リスクは比較的低め。区内でも東西の立地条件の差が大きいため、物件の住所をハザードマップで個別確認することが特に重要です。
太白区
名取川沿いの低地部では洪水リスクがあります。長町・富沢エリアは地下鉄沿線で利便性が高いですが、名取川の氾濫区域に該当する部分があるため、ハザードマップの確認が重要です。なお、長町エリアでは名取川の改修工事やスーパー堤防の整備が進められており、行政による浸水対策が継続的に実施されています。最新の整備状況は仙台市の河川管理情報を参照することをおすすめします。
泉区
仙台市北部の住宅地が多いエリアです。七北田川沿いを除くと、全体的に浸水リスクは低い傾向にあります。七北田川については、仙台泉野辺地遊水池の整備が浸水対策に寄与しており、洪水調節機能の向上が図られています。ただし、ニュータウン開発地の造成斜面では土砂災害リスクに注意が必要な箇所があります。
5区の災害リスク早見表
各区の傾向を一覧で整理すると次の通りです。
| 区 | 洪水 | 津波 | 土砂災害 | 特に確認したいエリア |
|---|---|---|---|---|
| 青葉区 | 広瀬川沿い低地で注意 | ほぼ対象外 | 西部山間部で注意 | 広瀬川沿い・作並/定義方面 |
| 宮城野区 | 七北田川・梅田川沿いで注意 | 東部沿岸(蒲生・岡田)で高 | 低め | 仙台港周辺の沿岸部 |
| 若林区 | 広瀬川・名取川間の低地で広く注意 | 東部沿岸(荒浜・藤塚・六郷)で高 | 低め | 仙台東部道路より東側 |
| 太白区 | 名取川沿い(長町・富沢の一部)で注意 | 名取川河口周辺 | 南西部(秋保・生出)で注意 | 長町・富沢の低地部 |
| 泉区 | 七北田川沿いで注意 | 対象外 | ニュータウン造成斜面で注意 | 七北田川沿い・北西部斜面地 |
※この表はあくまで傾向の整理です。実際のリスクは同じ区内でも住所単位で大きく異なるため、必ず物件の住所で個別に確認してください。
仙台市防災情報マップの使い方(オンライン確認手順)
物件を検討する際、インターネット上でリスクを手軽に確認できるオンラインマップを活用するのが最も効率的です。以下の手順で確認してみてください。
Step 1:仙台市防災情報マップにアクセス
仙台市公式サイトで「仙台市防災情報マップ」を検索するか、直接 https://www.city.sendai.jp/kikikanri/kurashi/anzen/bosai/hazardmap/index.html を開きます。
Step 2:物件の住所を入力してピンを立てる
地図の検索欄に物件の住所を入力すると、該当地点が地図上に表示されます。
Step 3:表示を切り替えて各リスクを確認
「洪水」「津波」「土砂」など種別を切り替えて、物件周辺のリスク区域を確認します。洪水ハザードマップでは浸水深の色凡例(0.5m未満〜5m以上の段階)を確認し、該当色が何を意味するか把握してください。
Step 4:最寄りの避難場所を確認
マップ上で最寄りの指定避難所・避難場所を確認します。物件からの経路をスクリーンショットで保存しておくと、実際の避難計画に役立ちます。
Step 5:国交省のポータルサイトも活用
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)でも同様に洪水・土砂・津波リスクを確認できます。複数の情報源を照合することで、より確実なリスク評価が可能です。
ハザードマップを物件選びに活用する方法
ステップ1:物件所在地のリスクを確認
物件の住所をハザードマップ上で確認し、以下の点をチェックします。
- 洪水浸水想定区域に入っているか、入っている場合の想定浸水深は何メートルか
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていないか
- 津波浸水想定区域に入っていないか
ステップ2:建物の構造と階数を考慮
浸水リスクのあるエリアでは、建物の構造や居住階数が重要になります。
- 浸水深0.5m未満:1階でも床上浸水は回避可能な場合が多い
- 浸水深0.5m〜3m:2階以上の居住を推奨
- 浸水深3m以上:3階以上の堅固な建物が望ましい
鉄骨造やRC造の建物は、木造と比較して水害時の構造的な被害が小さい傾向があります。
ステップ3:避難経路と避難場所を確認
ハザードマップには、指定避難所・避難場所・避難経路も記載されています。物件から最寄りの避難場所までのルートを事前に確認しておくことが重要です。
ステップ4:過去の災害履歴を調べる
ハザードマップは「想定」に基づく情報です。過去に実際に浸水被害が発生した地域かどうかも確認すると、より現実的なリスク評価ができます。仙台市の「災害の記録」や国土地理院の「地理院地図」(旧版地形図)なども参考になります。
ハザードマップの確認方法
仙台市のハザードマップは、以下の方法で確認できます。
- 仙台市公式サイト:各種ハザードマップのPDFをダウンロード可能
- 仙台市防災情報マップ:Web上で住所を入力して確認できるオンラインツール
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」:全国のハザードマップを横断的に閲覧可能
- 各区役所の窓口:紙のハザードマップを入手可能
よくある質問(FAQ)
Q. 仙台のハザードマップはどこで確認できますか?
仙台市公式サイトのPDF版、Web上で住所検索できる「仙台市防災情報マップ」、国土交通省「ハザードマップポータルサイト」、各区役所窓口の紙版の4つの方法があります。物件検討時はオンラインの防災情報マップが最も手軽です。
Q. 仙台市内で災害リスクが低いのはどのあたりですか?
一般的な傾向として、青葉区の台地上(上杉・北四番丁周辺)や泉区の丘陵住宅地など、河川沿いの低地・沿岸部から離れた台地上のエリアは浸水リスクが低めです。ただし同じ区・町内でも住所単位でリスクは変わるため、必ず物件住所で確認してください。
Q. 浸水想定区域に入っている物件は借りない方がいいですか?
必ずしもそうではありません。想定浸水深に応じて2階以上・3階以上の住戸を選ぶ、鉄骨造・RC造の建物を選ぶ、家財保険の水災補償に加入する、避難経路を事前に確認しておくといった対策でリスクは管理できます。
まとめ
仙台市は東日本大震災を経験した都市として、防災意識が高い地域です。住まい選びにおいてハザードマップを活用することで、災害リスクを理解した上での適切な判断が可能になります。
ハザードマップに記載されたリスクがある地域が「住んではいけない場所」というわけではありません。リスクを正しく認識し、建物の構造・階数選び・保険加入・避難計画の策定など、適切な対策を講じることが重要です。物件選びの際には、利便性や家賃だけでなく、防災の観点も加えた総合的な判断をおすすめします。
エムアセッツの所有物件はいずれも重量鉄骨造で、構造面での耐久性を重視して建設されています。仙台での住まい探しにあたり、ハザードマップと合わせてご参照ください。仙台への転勤をお考えの方は仙台転勤ガイドも参考になります。ご不明な点はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
ハザードマップ確認後にやること:賃貸入居前のアクション
ハザードマップでリスクを把握したら、入居前に以下のアクションをとることをおすすめします。
1. 水害リスクがある区域では火災保険の水害特約を確認する
賃貸入居時に加入する火災保険には「水害特約(風水害補償)」がオプションで付帯できる場合があります。洪水・浸水リスクのある区域の物件に入居する場合は、補償内容を確認し水害特約を付けることを検討してください。保険会社や契約内容によって対象となる被害の範囲が異なるため、事前確認が重要です。
2. 避難経路を事前に歩いて確認する
地図上で確認した避難場所まで、実際に徒歩で経路を確認しておくことをおすすめします。夜間や悪天候でも迷わず避難できるよう、目印となる建物や分岐点を記憶しておくと安心です。仙台市が発行する紙のハザードマップを入手し、家族で共有しておきましょう。
3. 建物構造(鉄骨造 vs 木造)が水害時の被害差に影響することを確認する
浸水深が小さい場合(0.5m未満程度)であれば、木造・鉄骨造ともに床上浸水は回避できる可能性があります。しかし浸水が長引いた場合、木造は床材・柱が腐食しやすく、鉄骨造・RC造は構造的な耐久性が高い傾向があります。[重量鉄骨造](/column/j-ry-tekkotsu-miyatsuko-keiry-tekkotsu-miyatsuko-mokuz-no-chigai-sendai-no-chint)物件の選択が、水害後の復旧コストや入居継続可能性に差をもたらすことがあります。エムアセッツの重量鉄骨造物件一覧でご確認ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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