更新拒絶とは何か
賃貸借契約の「更新拒絶」とは、オーナー(貸主)が契約期間満了時に「更新しない」と告げることです。入居者にとっては突然の引越しを迫られる深刻な事態ですが、日本の法律では入居者の居住権を守るため、オーナーが更新を拒絶できる要件を厳しく制限しています。
法的根拠:借地借家法第28条
借地借家法第28条では、貸主が賃貸借契約の更新を拒絶するには「正当事由」が必要と定められています。正当事由がなければ、たとえ「更新しない」と通告されても契約は法定更新されます。
正当事由として認められる要件
正当事由が認められるかどうかは、以下の4要素を総合的に判断します。
1. 貸主側の使用の必要性
最も重視される要件です。貸主本人やその親族が実際に使用する必要がある場合が代表例です。たとえば「オーナーが自ら住むために使いたい」「高齢の親を同居させるために使いたい」などのケースが該当します。
単に「売却したい」「賃料を値上げしたい」という理由は正当事由として認められません。
2. 賃借人(入居者)側の使用状況
入居者がその物件をどの程度必要としているかも考慮されます。長年居住しているほど、また代替住居の確保が困難なほど、正当事由の認定は厳しくなります。
3. 建物の老朽化・建替えの必要性
建物が著しく老朽化して安全性に問題があり、建替えが不可避である場合は正当事由として考慮されます。ただし老朽化が軽微な場合は認められないことが多く、建替え計画の具体性も問われます。
4. 立退料の提供
正当事由が弱い場合でも、立退料を提供することで正当事由を補完することが認められています。立退料の金額はケースバイケースですが、賃料の6〜12ヶ月分程度が目安とされることが多いです。
更新拒絶の手続きと入居者の対応
オーナーから通知が来た場合の手順
- 通知内容を書面で確認する:口頭での通告は効力が曖昧なため、書面での通知を要求する
- 通知の時期を確認する:更新拒絶の通知は契約期間満了の1年前〜6ヶ月前に行わなければなりません(借地借家法第26条)。期間外の通知は無効になります
- 正当事由の根拠を確認する:オーナーからその理由を明示させる
- 弁護士または専門家に相談する:正当事由の有無は法的判断が必要なため、早めに専門家に相談する
正当事由がない場合の対処
正当事由がないと判断される場合、入居者は更新拒絶を拒否して居住を継続できます(法定更新)。オーナーが強制的に退去させようとする行為は不法行為となります。
法定更新後の契約は従前と同条件で継続されますが、契約期間の定めのない契約(期間の定めなし)に変わります。
立退料交渉のポイント
正当事由がある程度認められる場合でも、入居者は立退料の交渉ができます。
立退料の算定で考慮される要素
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 居住継続の必要性 | 居住年数が長いほど高くなる傾向 |
| 引越し費用 | 実費相当額 |
| 仮住まい費用 | 次の物件が見つかるまでの費用 |
| 心理的・精神的損害 | 長期居住者の生活基盤喪失 |
| 新居の賃料差額 | 現在の賃料と転居先との差額の一定期間分 |
立退料交渉は個人での交渉が難しいため、弁護士または不動産専門のADR(裁判外紛争解決手続)の活用を検討してください。なお、やむを得ず転居先を探す必要が生じた場合は、所有物件一覧はこちらやペット可物件一覧はこちらも参考にしてください。
定期借家契約の場合は異なる
注意が必要なのは、定期借家契約の場合です。定期借家契約は「契約期間の満了とともに確実に契約が終了する」特約があり、正当事由は不要です。ただしオーナーは期間満了の1年前〜6ヶ月前に「期間満了で契約終了する」旨を書面で通知する義務があります。
この通知を怠ると、定期借家契約として終了させることができなくなります(借地借家法第38条)。
契約書に「定期建物賃貸借契約」と明記されているかどうかを確認しましょう。
相談先一覧
| 相談先 | 内容 |
|---|---|
| 法テラス(日本司法支援センター) | 収入に関係なく弁護士・司法書士の無料相談 |
| 仙台市消費生活センター | 宅建業者の行為に関するトラブル相談 |
| 宮城県宅建業協会 | 不動産業者の行為に関する苦情相談 |
| 宮城県弁護士会 | 法律相談(有料) |
まとめ
- 更新拒絶には「正当事由」が必要で、簡単には認められない
- 通知の時期・方法に不備があれば更新拒絶は無効になる
- 正当事由があっても立退料の交渉は可能
- 定期借家契約の場合は別ルールが適用される
エムアセッツは仙台市内で複数の賃貸[マンション](/column/2026-03-04-sendai-no-chintai-manshon)・アパートを自社所有・運営しており、所有物件にお住まいの方からのお問い合わせを受け付けております。契約更新に関して不安がある場合は、上記の相談窓口や弁護士への相談と合わせて、お問い合わせはこちらよりご連絡ください。賃貸に関するその他の疑問はよくある質問、関連するトピックは不動産コラム一覧もあわせてご覧ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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