「立退きを求められた」は即退去ではない
仙台でも築30〜50年以上の老朽化した賃貸アパートや木造借家が多く残っており、「建て替えるので退去してほしい」とオーナー側から通知が来るケースが増えています。しかし、入居者はすぐに退去しなければならないわけではありません。
日本の賃貸借法(借地借家法)では、入居者保護の観点から、オーナーから一方的に退去を求められても、正当な事由と十分な補償がなければ明け渡しを拒否できる強力な権利が保障されています。
正当事由とは何か
借地借家法第28条では、オーナーが契約を更新しない(解約申し入れ・更新拒絶)ためには正当事由が必要と定めています。正当事由の判断には以下の要素が考慮されます。
- 建物の老朽化・危険性:倒壊リスクが客観的に認められる老朽化
- オーナーの自己使用の必要性:オーナー自身や家族が住む必要がある場合
- 賃貸物件の有効活用の必要性:建て替えによる土地の適正利用
- 立退料の提供:金銭的補償によって正当事由を補完する
「建て替えたい」だけでは正当事由として不十分な場合が多く、建物の構造的危険性の立証や十分な立退料の提示が伴って初めて正当事由が認められるのが一般的です。
立退料の相場
立退料は法律で金額が定まっているわけではなく、交渉によって決まります。一般的な相場の目安として以下が参考になります。
居住用賃貸(アパート・マンション)
考慮される加算要素
仙台市内で実際に交渉が行われた事例では、居住年数・物件の状態・新居の確保難易度によって、家賃12〜18か月分+引越し費用が提示されるケースが多いです。
立退き交渉の流れと注意点
通知を受けたらまず確認すること
- 更新拒絶通知か解約申し入れかを確認:借地借家法上の期限(更新拒絶は満了の6か月前まで、解約申し入れは6か月前)が守られているかを確認
- 退去期限の確認:通知書に書かれた退去希望日は「交渉の出発点」であり、即座に受け入れる必要はない
返答は書面で
口頭での交渉は記録が残りません。オーナーまたは管理会社からの通知には、書面で返答することを徹底してください。「検討中」「条件次第で協議する」という内容でも書面にすることが重要です。
弁護士・消費生活センターへの相談
立退き問題は専門的な法律判断が必要なケースが多いため、仙台市の消費生活センター(022-222-3326)や法テラス宮城(050-3383-5491)に相談することを強くお勧めします。初回相談は無料で受けられる場合があります。
立退料の交渉や退去拒否の主張には弁護士のサポートが有効です。弁護士費用は立退料から賄えることが多く、費用の心配は後回しにして相談だけでも早めに行ってください。
拒否できるケースと受け入れるべきケース
拒否が有力なケース
- オーナーが正当事由を具体的に示していない(「古いから」「建て替えたい」程度)
- 立退料の提示が不十分または提示ゼロ
- 退去期限が通知から数か月以内と短すぎる
- 代替物件の案内もない
受け入れを検討すべきケース
- 建物の老朽化による倒壊・火災リスクが専門家診断で確認されている
- 立退料が十分で転居費用・差額家賃・引越し費用がカバーされる
- 代替物件の斡旋を受けている
退去後の権利確保
仮に立退きに合意する場合でも、以下の点を書面で確認してください。
- 立退料の支払い時期と方法(退去前に受け取ることを原則とする)
- 原状回復義務の範囲の明確化(通常使用・経年劣化は入居者負担にならない)
- 敷金の全額返還(正当な修繕費用以外は全額返還が原則)
まとめ
仙台で賃貸物件の老朽化を理由に立退きを求められたとしても、入居者には強い権利があります。通知を受けたら慌てず、まず専門家に相談し、書面でのやり取りを徹底することが大切です。立退料の水準や交渉方法について不明な点があれば、法律の専門家や消費生活センターを積極的に活用してください。
エムアセッツでは、立退きに関するご不明点や転居先の賃貸物件探しについてもサポートしています。仙台市内で困っている方はお気軽にご相談ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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