更新料とは?仙台での相場と慣行
賃貸物件の「更新料」とは、契約満了時に契約を更新する際に借主(入居者)が貸主に支払う費用のことです。一般的に2年に1回、家賃1〜2ヶ月分が相場とされています。
仙台市内の賃貸市場では、更新料の設定は物件によってまちまちです。大手不動産管理会社(積水ハウス不動産・大東建託・積和不動産など)が管理するブランド物件では更新料を設定しているケースが多い一方で、個人オーナーや中小管理会社の物件では「更新料なし」としている物件も増えています。
本記事では「更新料あり」と「更新料なし」の物件を、居住年数別にトータルコストで比較し、どちらを選ぶべきか判断するための材料を提供します。
更新料の法的性質と借主の権利
更新料は法律で義務づけられたものではありません。消費者契約法や借地借家法の観点から過去に裁判が起きたこともありましたが、2011年の最高裁判決で「更新料特約は有効」という判断が確定しています。ただし、「著しく高額」な更新料設定は無効となるリスクがあるため、更新料が家賃の2ヶ月分を大きく超えるような場合は契約前に確認を要します。
仙台では慣行として家賃1ヶ月分の更新料が主流です。2年ごとに更新手数料(管理会社への事務手数料、通常0.5〜1ヶ月分)が別途かかるケースもあります。
トータルコスト試算:居住年数別シミュレーション
試算前提条件
以下の条件で「更新料あり(家賃1ヶ月分)」と「更新料なし(ただし家賃が5,000円高め)」を比較します。
| 項目 | 更新料あり物件A | 更新料なし物件B |
|---|---|---|
| 月額家賃 | 65,000円 | 70,000円 |
| 更新料 | 65,000円(2年ごと) | なし |
| 更新手数料 | 32,500円(0.5ヶ月分、2年ごと) | なし |
| 初期費用(敷金・礼金・仲介手数料等) | ほぼ同等と仮定 | ほぼ同等と仮定 |
居住1年(12ヶ月)の比較
- 物件A:65,000円 × 12ヶ月 = 780,000円
- 物件B:70,000円 × 12ヶ月 = 840,000円
- 差額:物件Bが60,000円高い
1年以内の退去であれば、更新料なし物件でも月5,000円の家賃差により割高になります。
居住2年(24ヶ月)の比較
- 物件A:780,000円 × 2年 + 更新料65,000円 + 更新手数料32,500円 = 1,657,500円
- 物件B:840,000円 × 2年 = 1,680,000円
- 差額:物件Bが22,500円高い
更新のタイミングでは物件Aの更新コストが発生しますが、月5,000円の家賃差を加味してもほぼ同等です。
居住3年(36ヶ月)の比較
- 物件A:65,000円 × 36 + 65,000円(更新料)+ 32,500円(更新手数料)= 2,437,500円
- 物件B:70,000円 × 36 = 2,520,000円
- 差額:物件Bが82,500円高い
3年では依然として物件Aのほうが安くなっています。
居住4年(48ヶ月)の比較
- 物件A:65,000円 × 48 + (65,000円 + 32,500円) × 2回 = 3,315,000円(2回目更新含む)
- 物件B:70,000円 × 48 = 3,360,000円
- 差額:物件Bが45,000円高い
居住5年(60ヶ月)の比較
- 物件A:65,000円 × 60 + 97,500円 × 2回 = 4,095,000円
- 物件B:70,000円 × 60 = 4,200,000円
- 差額:物件Bが105,000円高い
この試算では、居住期間を延ばしても更新料あり・家賃安い物件(A)のほうがトータルで安くなる結果になりました。ただしこれは「更新料なし物件の家賃が5,000円高め」という前提に基づいています。
前提が変わると逆転するケース
更新料が家賃1.5〜2ヶ月分の場合
更新料が家賃の1.5ヶ月分(97,500円)や2ヶ月分(130,000円)に設定されている物件では、計算が変わります。更新料が高いほど、家賃差がなくても更新料なし物件が有利になりやすいです。
家賃差がない(更新料あり・なし物件の家賃が同額)場合、2年ごとに1ヶ月分以上の更新料を支払う更新料あり物件は長期居住するほど不利になります。
家賃差が1,000円以内の場合
もし更新料なし物件の家賃が更新料あり物件と1,000円しか変わらないなら、2年ごとに発生する更新料(1ヶ月分)のほうがはるかに大きな支出です。このケースでは更新料なし物件が圧倒的に有利です。
更新料なし物件が増えている背景
近年、仙台市内でも「更新料なし」物件の増加が見られます。入居者の初期費用負担を減らすことで、空室を早期に埋めやすくする戦略の一環です。特に2023〜2025年にかけての建設費高騰・新築物件供給増を受けて、既存物件オーナーが入居促進策として更新料の廃止や引き下げを行う動きが出ています。
また、若い世代を中心に「長く住んでいるのにお金を払う意義がわからない」という意識も広まっており、更新料なし物件の人気は年々高まっています。
実際に物件を選ぶ際のチェックポイント
何年住む予定かを事前に考える
転勤が多い方・就職先が未定の学生・結婚・出産などライフイベントが近い方は、2年以内に退去する可能性が高いです。この場合は更新料の影響が小さいため、月々の家賃を優先して選ぶほうが合理的です。
一方、腰を据えて長期間(3年以上)住む予定の方は、更新料の有無・更新手数料の有無が積もり積もってコストに影響します。
更新手数料と更新時の保険料更新も含めて計算
更新時には更新料だけでなく、管理会社への更新手数料(家賃の0.5〜1ヶ月分が多い)や火災保険の更新費用(1〜2万円程度)も発生します。これらを含めたトータルコストで比較することが重要です。
定期借家契約かどうかも確認
「更新料なし」と記載されていても、契約形態が「定期借家契約」であれば契約満了時に再契約の手続きが必要になるケースがあります。定期借家契約では更新料は発生しませんが、再契約時に礼金・仲介手数料などが再度かかる可能性があるため、実質的なコストは普通借家と変わらないことも。
まとめ:単純な家賃比較ではなく居住計画に合わせて選ぶ
仙台の賃貸物件で「更新料あり」と「更新料なし」どちらが得かは、実際に何年住む予定か・更新料の額・家賃差によって変わります。
シミュレーションで示した通り、「家賃が5,000円安くて2年ごとに更新料1ヶ月分あり」と「更新料なしだが月5,000円高め」では、長期居住でも大きな差が生まれにくいケースもあります。しかし、更新料の金額が高い(1.5〜2ヶ月分)物件は注意が必要です。
物件を比較する際は、「月額家賃 × 予定居住月数 + 更新料合計 + 更新手数料」で算出した居住期間中のトータルコストを比較軸にすることをおすすめします。エムアセッツでは、コスト面での最適な物件選びのご相談も承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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