転勤族のマイホームオーナーが直面する課題
仙台市は東北の主要都市として、大手企業・官公庁・医療機関などの地域拠点が集まっており、全国転勤を伴う仕事に就いているオーナーも少なくありません。転勤が決まった際に「購入したマイホームをどうするか」という判断は、財産管理・税務・住宅ローンなど多くの要素が絡む複雑な問題です。
自宅を売却するか、賃貸に出して家賃収入を得るか、空き家のまま維持するか——この判断は、転勤先の期間・将来の仙台への帰還の可否・住宅ローンの残高などによって大きく異なります。本記事では、特に「賃貸に出す」選択肢にフォーカスし、必要な手続きと注意点を解説します。
持ち家を賃貸に出すメリットとデメリット
メリット
1. 家賃収入が得られる
転勤先の家賃・生活費を賄う副収入として、毎月の家賃収入は大きな支えになります。ローン返済分の一部または全部を賃料で補えるケースもあります。
2. 資産を手放さずに済む
仙台の不動産市場は再開発・人口集積の影響で一部エリアで地価上昇が続いています。値上がり期待のある物件を手放さず、将来の仙台への帰還時に再び住める選択肢を残せます。
3. 空き家による劣化リスクを回避
誰も住んでいない空き家は、換気不足・水回りの停滞・湿気によるカビなどで急速に劣化します。入居者が住み続けることで、一定の維持管理が行われます。
デメリット
1. 住宅ローンの取り扱いが変わる
自己居住用として借りた住宅ローンは、原則として居住用途以外への転用が禁じられています(詳細後述)。
2. 入居者トラブルのリスク
家賃滞納・原状回復トラブル・近隣とのトラブルなど、賃貸経営特有のリスクを負います。
3. 帰還時に退去させられない可能性がある
普通借家契約の場合、入居者が更新を希望する限り、オーナー都合の退去は正当事由なく認められません。帰還の見込みがある場合は「定期借家契約」を選ぶことが重要です。
住宅ローンと賃貸化の関係
金融機関への事前相談が必須
住宅ローンは「本人が居住する自宅」に対して低金利の優遇が適用されています。賃貸化(賃貸転用)する場合、金融機関への届け出・変更手続きが必要です。無断で賃貸に出すことは契約違反となり、最悪の場合は一括返済を求められるリスクがあります。
金融機関によって対応が異なりますが、転勤などのやむを得ない事情であれば、一定期間の賃貸転用を認めてくれるケースがほとんどです。事前に担当窓口に状況を説明し、書面での了承を得ることを強くお勧めします。
住宅ローン控除への影響
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、自己居住を要件とします。賃貸に出した年以降は控除の適用外となります。仙台へ帰還して再び居住した場合、残りのローン控除期間中であれば再適用が可能ですが、手続きが必要です。
賃貸に出すための手続きの流れ
ステップ1:不動産会社への相談
まず地元の賃貸管理会社または不動産仲介会社に相談し、現在の物件の賃料査定を受けます。周辺の賃貸相場・物件の状態・設備水準などを踏まえた適正賃料の把握が第一歩です。
ステップ2:管理委託契約の締結
転勤先からオーナー自身が物件を管理することは難しいため、賃貸管理会社への委託が現実的です。管理委託の内容には、以下が含まれます。
- 入居者募集・広告掲載
- 入居審査
- 家賃の集金代行
- 入居者からのクレーム・修繕対応
- 退去時の原状回復立会い
管理委託料は月額賃料の5〜10%程度が一般的ですが、サービス内容を確認した上で選びましょう。
ステップ3:契約形態の選択(普通借家 vs 定期借家)
帰還予定がある場合は、定期借家契約を強く推奨します。定期借家契約は、契約期間満了と同時に確実に契約が終了するため、オーナーが帰還時に物件を取り戻せます。
一方で、入居者側には「期間が来たら確実に出なければならない」という制約があるため、普通借家に比べて入居希望者が少なく、賃料がやや低くなる傾向があります。それでも、「帰還時に住めなくなるリスク」を考えると定期借家を選ぶ合理性は高いです。
ステップ4:物件の現状確認・クリーニング
賃貸に出す前に、壁・床・キッチン・浴室・トイレ・外壁などの状態を確認し、必要に応じてクリーニング・修繕を行います。写真を記録しておくことで、退去時の原状回復判断の根拠となります。
ステップ5:火災保険の変更
自己居住用の火災保険から、賃貸(家主向け)火災保険への変更が必要です。保険会社に連絡し、契約内容を切り替えましょう。家主費用特約(孤独死・家賃損失補償等)の追加も検討してください。
税務上の注意点
不動産所得として申告が必要
賃料収入は「不動産所得」として確定申告が必要です。給与所得と合算して課税されます。ただし、建物の減価償却費・管理委託料・修繕費・固定資産税・損害保険料などは経費として控除できます。
住宅ローン控除との兼ね合い
前述の通り、賃貸化した年以降は住宅ローン控除が使えなくなります。控除期間中の方は、税務上の損益計算をしっかり行った上で意思決定することが重要です。
帰還時の対応
転勤期間が終わり仙台に戻る際には、定期借家の満了に合わせて退去してもらい、クリーニング・修繕を経て再入居します。入居者が退去後の状態によっては、リフォームが必要になることもあります。
帰還後は、住宅ローン控除の再適用手続きも忘れずに行いましょう。
まとめ
転勤に伴う持ち家の賃貸化は、適切な手続きを踏めば安定した家賃収入と資産保全を両立できる選択肢です。住宅ローンの取り扱い・定期借家の活用・管理会社の選定がポイントになります。
仙台での賃貸管理・転勤中の物件管理についてのご相談は、エムアセッツ株式会社にお気軽にお問い合わせください。転勤オーナーの物件管理に豊富な実績を持つスタッフが対応いたします。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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