海外赴任と不動産:出発前に決断が必要な3択
海外赴任の辞令が出たとき、多くの方が頭を抱えるのが「今住んでいる家・物件をどうするか」という問題です。仙台でも転勤族が多く、特に東北大学病院・仙台市役所・大手製造業など、海外拠点を持つ組織に勤める方々から「赴任中の不動産をどう管理すればいいか」という相談が絶えません。
大きく分けると選択肢は3つです。
- 自宅を賃貸に出す(空室にせず家賃収入を得る)
- 空室のまま留守宅管理に出す(管理費はかかるが内部はそのまま維持)
- 売却する(帰国後の再購入を前提に現金化)
どれが正解かは「赴任期間」「住宅ローンの有無」「家族構成」「帰国後の居住意向」によって大きく変わります。それぞれのメリットとデメリットを丁寧に整理しましょう。
自宅を賃貸に出す場合の手続きと注意点
住宅ローンがある場合は要確認
持ち家に住宅ローンが残っている場合、原則として「居住用」として融資を受けているため、賃貸に転用する際は金融機関への届出が必要です。無断で賃貸に出すと、ローンの一括返済を求められるリスクがあります。
多くの金融機関では「転勤による一時的な賃貸転用」は認めており、「転勤証明書」の提出で手続きを進められます。赴任が決まったら早めに金融機関の窓口へ相談することが重要です。
管理会社への委託が現実的
海外に居ながら物件を自主管理するのはほぼ不可能です。管理会社に賃貸管理を委託することになりますが、委託費用は家賃の5〜10%程度が相場です。仙台市内の場合、管理会社によっては海外在住オーナー向けに「海外対応プラン」を用意しているところもあります。
具体的な業務範囲として、入居者募集・契約締結・家賃集金・設備トラブル対応・退去立会いなどが含まれます。管理委託契約を結ぶ際は「緊急時の連絡体制」「修繕の権限範囲(何万円まで管理会社の判断で対応できるか)」を明確にしておきましょう。
確定申告と源泉徴収の義務
日本国外に居住する非居住者が国内の不動産から家賃収入を得る場合、借主(または管理会社)が20.42%の源泉徴収を行う義務があります。この場合、借主が税務署への納付義務を担うため、管理会社との契約時に「源泉徴収対応可否」を確認しておく必要があります。
また、帰国後(または毎年)には日本での確定申告が必要です。「国内源泉所得」として不動産所得を申告し、源泉徴収分との差額を精算します。税理士に依頼する場合のコストも見込んでおきましょう。
賃貸入居者が海外赴任する場合の対応
賃貸物件に住んでいる方が海外赴任になった場合、選択肢は「解約する」「一時的に転貸(サブリース)する」の2択ですが、多くの賃貸借契約では転貸は禁止されています。
解約のタイミングと違約金
一般的な賃貸借契約では、退去の1〜2カ月前までに解約予告をすることが求められます。赴任辞令が急に決まった場合でも、予告期間を守らないと解約予告前の賃料を支払う義務が生じます。
赴任時期が「3月末」などの繁忙期に重なる場合は、できるだけ早めに管理会社・オーナーに相談することが大切です。特に「海外赴任のためやむを得ない解約」であれば、オーナー側も柔軟に対応してくれる場合があります。
家財・荷物の扱い
賃貸を解約する場合、家財道具はトランクルームへの一時保管、実家への送付、または一部は帰国後に再購入するという選択が現実的です。仙台市内には月額5,000〜2万円程度のトランクルームが多数あり、容量・立地に応じて選べます。
荷物を送る海外便(国際引越し業者)の手配は早めが肝心で、繁忙期(3〜4月)は6週間前からの予約が推奨されます。
空室のまま留守宅管理に出す場合
「いつか帰ってくるから売りたくない、でも賃貸に出すのも手間がかかる」という方には、空室のまま維持・管理する「留守宅管理サービス」が選択肢です。
主なサービス内容としては以下が挙げられます。
- 定期巡回(月1〜2回):不審者侵入・雨漏り・設備異常の目視確認
- 通風・換気:カビ・結露防止のための定期換気
- 郵便物の転送:重要郵便の整理・転送代行
- 緊急対応:水漏れ・ガス漏れ等の緊急時対応
費用は月額5,000〜2万円程度が目安で、管理頻度や建物の規模によって異なります。仙台市内では不動産管理会社がこのサービスを提供しているほか、専門の「留守宅管理業者」も存在します。
空室期間中の固定費負担
自宅を空室のまま維持する場合、以下の固定費が継続してかかります。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 年間15〜30万円(仙台市内一般住宅) |
| 管理会社への留守宅管理費 | 月1〜2万円 |
| 火災保険料(住宅火災) | 年3〜8万円 |
| ローン返済(住宅ローンがある場合) | 月々の返済額がそのまま継続 |
収入ゼロで固定費が継続するため、賃貸に出した場合との収支比較は必須です。
海外赴任前に完了させるべき手続きチェックリスト
出発前に処理し忘れると後で大変になる手続きをまとめました。
【行政手続き】
- 市区町村役場への「海外転出届」提出(出発14日前から受付)
- 国民健康保険・年金の手続き(会社員であれば勤務先経由)
- マイナンバーカードの取り扱い確認
【不動産・金融関係】
- 住宅ローン金融機関への転勤届出・賃貸転用申請(持ち家賃貸出しの場合)
- 管理会社との委託契約締結・銀行口座の振込先設定
- 火災保険の保険会社への住所変更・「賃貸転用」への変更手続き
- 電気・ガス・水道の停止手続き(賃貸に出す場合は名義変更)
【賃貸入居者の場合】
- 解約予告の提出(1〜2カ月前が原則)
- 退去立会いの日程調整
- 敷金返還の受取口座確認
- インターネット回線の解約
帰国後の再入居・再購入を見据えた準備
帰国時期が明確でない場合でも、長期的な視点で不動産を管理することが重要です。
賃貸に出している場合、帰国後すぐに自宅に戻れるわけではありません。定期借家契約(更新不可・期間満了で退去)を結ぶことで、帰国時期に合わせて入居者に退去してもらいやすくなります。3年間や5年間の定期借家契約が一般的です。
また、売却を選んだ場合は帰国後に改めて購入活動を行うことになりますが、住宅ローン控除の要件や、売却益に対する税制(居住用財産の3,000万円特別控除等)を赴任前に確認しておくと、売却タイミングの判断に役立ちます。
まとめ:海外赴任前の不動産対応は「早期相談」が鉄則
海外赴任に伴う不動産対応は、辞令が出てから準備できる時間が限られていることが多く、「後悔しない決断」のためには早めに不動産会社・税理士・金融機関に相談することが最善策です。
仙台市内の不動産会社では、転勤族のオーナーを多数サポートしてきた実績があります。持ち家を賃貸に出す手続き、留守宅管理、帰国後の再入居調整まで、ワンストップで相談できる管理会社を選ぶことで、海外にいながらでも安心して不動産を維持できます。
「赴任期間が終わったら戻りたい自宅」を守るための準備を、今すぐ始めましょう。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
仙台の賃貸物件をお探しですか?
エムアセッツでは仙台市内に全棟ペット可・シャーメゾンの高品質賃貸物件を所有・運営しています。
