2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、事業者が消費税の仕入税額控除を受けるためのルールを大きく変えました。仙台でテナント(店舗・事務所)を借りている事業者の方の中には、「賃料の消費税はどうなるの?」「大家さんにインボイスを発行してもらう必要があるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、インボイス制度がテナント賃貸に与える影響と、仙台で事業用物件を借りる際の消費税の取り扱いについて、不動産専門家の視点から解説します。
インボイス制度の基本
インボイス(適格請求書)とは
インボイスとは、売手が買手に対して、消費税率や消費税額を記載した正規の請求書のことです。買手が仕入税額控除(支払った消費税を自社の納税額から差し引く)を受けるには、この適格請求書の保存が必要です。
登録番号の重要性
インボイスには、売手が税務署に登録した「登録番号」の記載が必要です。この登録番号は「T」+13桁の数字で構成されます。
重要なポイント
- インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録した事業者のみ
- 登録していない事業者(特に免税事業者)はインボイスを発行できない
- インボイスがない場合、2026年9月末まで80%、その後50%、2029年10月以降は0%しか仕入税額控除を受けられない(経過措置あり)
テナント賃料に消費税はかかるのか
事業用テナントは消費税課税対象
賃貸物件の消費税は、用途によって大きく異なります。
| 用途 | 消費税 |
|---|---|
| 事業用(店舗・事務所・倉庫等) | 課税(10%) |
| 住宅用(居住目的) | 非課税 |
| 住宅用(住居兼事務所で事務所部分が主用途) | 事務所部分は課税 |
仙台で店舗や事務所としてテナントを借りる場合、賃料には消費税が課税されます。例えば、月額20万円のテナント料を支払っている場合、消費税は2万円(合計22万円)となります。
駐車場の消費税
テナントと合わせて事業用駐車場を借りる場合も、その駐車場料金には消費税がかかります。一方、住宅と一体として提供される駐車場(アパートの附属駐車場など)は、住宅用の非課税扱いとなるケースが多いです。
インボイス制度がテナント賃貸に与える影響
課税事業者がテナントを借りる場合
消費税の課税事業者として申告している事業者がテナントを借りる場合、支払った賃料の消費税を仕入税額控除できます。
インボイス制度後のポイント
インボイス制度後は、大家さん(貸主)が適格請求書発行事業者として登録しているかどうかが重要です。
- 大家さんが登録している場合:インボイスを発行してもらい、全額の仕入税額控除が可能
- 大家さんが登録していない場合(免税事業者の大家):経過措置の範囲での控除のみ
大家さんが免税事業者の場合の影響
個人オーナーで賃貸収入が年間1,000万円以下の免税事業者の場合、インボイス制度への登録をしていないことがあります。
この場合、テナントを借りている課税事業者は、経過措置(2026年9月末まで80%控除)の後、徐々に控除できる額が減少します。
テナント側が取れる対応策
- 大家さんにインボイス登録を依頼する(義務ではないが、テナントが交渉可能)
- 登録しない場合、消費税分の賃料値下げ交渉を行う
- 管理会社を通じて確認・交渉する
実際には、多くの[不動産管理会社](/column/2026-04-29-sendai-kanri-gaisha-sentaku)(課税事業者)がオーナーに代わってインボイス対応を行っており、管理会社発行の請求書でインボイスの要件を満たしている場合があります。
免税事業者がテナントを借りる場合
年間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は、消費税の納付義務がありません。この場合、インボイス制度は直接影響しませんが、以下の点に注意が必要です。
- 課税売上が増えて課税事業者となる可能性がある場合は、早めにインボイス登録を検討する
- インボイス登録すると消費税の申告・納付義務が生じる
賃貸契約時に確認すべきインボイス関連の事項
契約前に確認すること
テナント契約を結ぶ前に、以下の事項を管理会社または大家さんに確認してください。
- 大家さんまたは管理会社のインボイス登録の有無
- 「T」から始まる登録番号を確認(国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で検索可能)
- 毎月の請求書の発行方法
- インボイスの要件を満たした請求書(適格請求書)を発行してもらえるか
- 発行時期(月末か翌月初か)
- 賃料に消費税が含まれているかの確認
- 賃料20万円が「税込」か「税抜」かを明確にする
- 賃貸借契約書に消費税の記載があるか確認する
賃貸借契約書の消費税条項
事業用テナントの賃貸借契約書には、消費税に関する記載があります。主な記載例は以下の通りです。
- 「賃料には消費税を含まない」(税抜き表示)
- 「消費税等は別途支払うものとする」
- 「法令の改正により消費税率が変更となった場合は、改定後の税率を適用する」
仙台でテナントを借りる事業者への実践的なポイント
月次の経理処理
インボイス制度に対応するために、以下の経理処理を行ってください。
- 毎月の賃料請求書がインボイスの要件を満たしているか確認する
- 登録番号が記載されているか確認する
- 税率(10%)と税額が明示されているか確認する
- 確認したインボイスは7年間保存する義務がある
大家さんへのインボイス登録依頼の方法
大家さんが免税事業者でインボイス未登録の場合、以下の方法で対応できます。
- 直接交渉:「仕入税額控除のためにインボイス登録をお願いできますか」と依頼する
- 管理会社を通じた交渉:管理会社が大家さんへの橋渡しをしてくれる
- 賃料の調整交渉:インボイスがない場合、消費税相当額の賃料減額を交渉する
なお、大家さんにはインボイス登録の義務はなく、拒否された場合でも法的な強制力はありません。双方の話し合いによる解決が基本となります。
管理会社の役割
テナント物件の管理は、多くの場合管理会社が行います。管理会社は課税事業者であることが多く、インボイス対応も管理会社が実施します。具体的には次の通りです。
- 管理会社が適格請求書発行事業者として登録している場合、管理会社発行の請求書でインボイス対応が完結することがある
- 大家さんへの賃料はオーナー側の問題であり、テナント(借主)への請求書は管理会社が対応する
まとめ
インボイス制度は、事業用テナントを借りている課税事業者にとって、仕入税額控除の観点から重要な制度です。
最も重要なのは、賃料の請求書(または領収書)がインボイスの要件を満たしているかを確認することです。管理会社または大家さんが適格請求書発行事業者として登録しているかを確認し、毎月のインボイスを適切に保存してください。
不明点がある場合は、担当の税理士にご相談ください。
エムアセッツ株式会社では、仙台市内のテナント物件を複数所有・管理しています。インボイス対応を含む契約上の疑問点については、お問い合わせください。事業用物件の所有物件一覧はこちらからご確認いただけるほか、現在募集中のテナント区画はテナント募集情報はこちらでご覧いただけます。青葉区錦町のレヴール仙台錦町のテナント区画についてはテナント募集 レヴール仙台錦町で詳細をご確認いただけます。契約に関するよくある質問はよくある質問、その他の不動産コラムは不動産コラム一覧からご覧いただけます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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