原状回復トラブルは賃貸退去時の最頻トラブル
国土交通省の賃貸住宅紛争処理相談件数において、退去時の「原状回復・敷金返還」に関するトラブルは常に上位を占めています。仙台市内の賃貸でも、退去時に「思っていた以上の費用を請求された」「どこまで払うべきか分からない」という声が多く聞かれます。進学・転勤(仙台転勤ガイドも参考にしてください)で新生活を始める方は特に、入居時の確認を後回しにしがちです。
原状回復トラブルの多くは、入居前の状態確認が不十分なことに起因しています。入居時にしっかりとした記録を残しておくことで、退去時の不当な費用請求を防ぐことができます。
原状回復の基本ルール:借主が負担する範囲
国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(最終改訂2011年)では、借主と貸主の費用負担範囲が明確化されています。
借主(入居者)の負担となるもの
- 故意・過失による傷・汚れ(タバコのヤニ、ペットによる傷・臭い)
- 水漏れを放置した際のカビ・腐食
- 不適切な使用による設備の故障
- 画鋲穴を超えるサイズの壁穴(棚取付けのビス穴等)
- 清掃不足によるキッチン・換気扇の油汚れ
貸主(大家)の負担となるもの(借主負担にならないもの)
- 経年劣化・自然消耗(壁紙の日焼け、フローリングの細かい擦り傷等)
- 次の入居者向けのクリーニング費用(慣行として入居者に請求している契約は原則無効)
- 設備の耐用年数を超えた交換(エアコン・給湯器等)
- 画鋲・ピン程度の小さな穴
なお、契約書に「特約」として「退去時のクリーニング費用は入居者負担」と明記されている場合は有効とされることが多いため、契約前に特約の内容を確認することが重要です。
入居時チェックリスト(入居当日必須)
入居当日に以下の箇所を徹底的に確認し、傷・汚れ・破損を写真で記録してください。
玄関・廊下
- [ ] ドアの傷・凹み
- [ ] ドアノブの動作確認
- [ ] 郵便ポストの状態
- [ ] 床材(フローリング・CF)の傷・変色
居室(各部屋)
- [ ] 壁紙の汚れ・傷・剥がれ・ヤニ変色
- [ ] 天井の染み・傷
- [ ] フローリングの傷・剥がれ・変色
- [ ] 窓ガラスの傷・ひび
- [ ] 窓枠・サッシの腐食・汚れ
- [ ] エアコンの動作確認・フィルター状態
- [ ] 照明設備の動作確認
- [ ] 押入れ・クローゼット内部の汚れ・カビ
キッチン
- [ ] コンロ・IHの動作確認と汚れ
- [ ] 換気扇の動作確認・油汚れの有無
- [ ] 流し台・シンクの汚れ・傷
- [ ] 水栓の水漏れ・動作確認
- [ ] 冷蔵庫スペースの床の変色(冷蔵庫焼け)
浴室・トイレ・洗面所
- [ ] 浴室の水垢・カビの有無(入居前の状態)
- [ ] シャワーヘッド・蛇口の動作確認
- [ ] 浴室乾燥機の動作確認
- [ ] トイレの動作確認・便座の傷・黄ばみ
- [ ] 洗面台の傷・水垢
設備全般
- [ ] 給湯器の動作確認
- [ ] 換気設備の動作確認
- [ ] インターフォンの動作確認
- [ ] 鍵の数と動作確認
写真記録の残し方(重要)
確認した箇所は必ず日時情報付きの写真で記録してください。スマートフォンのカメラ機能では撮影日時がExif情報に自動記録されます。
撮影のコツ
- 全体写真と部分写真の両方を撮る:部屋全体の雰囲気を示す写真と、傷・汚れの詳細写真(定規と一緒に大きさも記録)を撮影
- 明るい状態で撮影:照明をすべてつけて明るくした状態で撮影
- 複数アングルから撮影:傷の位置関係が分かるよう壁全体と傷部分の両方を撮る
- クラウドにバックアップ:スマートフォンの写真はGoogleフォト等のクラウドに自動バックアップする設定にしておく
入居確認書の提出を活用する
多くの管理会社では入居時に「入居確認書(チェックシート)」の提出を求めます。発見した傷・汚れを記入して返送することで、退去時に「入居前からあった傷」という証拠になります。提出した確認書のコピーは必ず手元に保管してください。
入居中に注意すべき習慣
[原状回復費用](/column/rental-restoration-cost-guide)を最小限に抑えるために、入居中から以下の習慣を心がけましょう。
結露・カビ対策
仙台市は冬季に室内外の温度差が大きく結露が発生しやすい環境です。窓の結露を放置するとサッシ周りのカビ・腐食につながり、退去時の費用請求対象になる可能性があります。
- 毎朝の窓拭き習慣またはヒーター付き結露防止シートの活用
- 換気を定期的に行う
- 除湿器や湿気取りアイテムの使用(特に浴室・押入れ・クローゼット)
なお、断熱・換気性能の高い物件ほど結露は発生しにくくなります。物件選びの段階で設備仕様を確認したい方はシャーメゾン特集も参考にしてください。
壁・フローリングの保護
- 家具を置く際に床保護マット・フェルトシールを使用
- 額縁・棚の取付けは画鋲を超えるサイズの穴を開けない(開ける場合は管理会社に事前相談)
- 直射日光による壁紙の日焼けは自然消耗扱いのため過度に心配不要
水回りのメンテナンス
水垢・カビは放置すると除去コストが上がります。月1回程度の浴室・洗面台の清掃と、排水口のぬめり取りを習慣化することで退去時の清掃費用を抑えられます。
退去時の流れと費用交渉のポイント
退去1ヶ月前:解約通知
一般的な賃貸契約では退去の1〜2ヶ月前に管理会社への解約通知が必要です。期限を過ぎると余分な家賃が発生するため、退去日を決めたら速やかに連絡してください。
退去当日:立会い確認
退去時に管理会社の担当者が物件の状態を確認します(立会い)。この立会い時に費用負担の話が出ますが、その場で全額同意する必要はありません。
立会い時の注意点:
- 費用見積書はその場で受け取らずに後日送付してもらうよう依頼する
- 入居時の写真を手元に用意して比較確認する
- 「経年劣化」か「借主の過失」かを一つひとつ確認する
費用の妥当性確認
退去費用の見積書を受け取ったら、以下を確認してください。
- 単価が市場相場と乖離していないか(クロス張替えは㎡1,000〜1,500円が相場)
- 耐用年数を考慮した減価償却が適用されているか(例:6年以上経過のクロスは貸主負担が原則)
- 敷金と相殺後の追加請求額が合理的か
不当な請求と判断される場合は、国土交通省のガイドラインを提示した上で交渉、または仙台市消費生活センター(022-266-9500)への相談が有効です。その他の疑問点はよくある質問もあわせてご確認ください。
まとめ
退去時の原状回復トラブルを防ぐための最大の対策は「入居時の徹底した状態記録」です。写真記録と入居確認書の提出を入居直後に必ず行うことで、退去時の不当な費用請求に対して明確な根拠を持って対応できます。
エムアセッツでは仙台市内で複数の賃貸[マンション](/column/2026-03-04-sendai-no-chintai-manshon)・アパートを所有・運営しています。所有物件一覧はこちらからご覧いただけます。入居時の確認書の記入方法など、賃貸に関するご不明な点はお問い合わせはこちらよりお問い合わせください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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