仙台でLGBT・同性カップルが直面する賃貸の課題
LGBTQ+(以下、LGBTと表記)のカップルが賃貸物件を借りる際には、異性カップルや家族世帯とは異なる独自の課題があります。仙台市でも、同性パートナーを「同居人」として申告した場合に、審査が通りにくいケースや、オーナーから入居を断られるケースが報告されています。
これらの課題の根底にあるのは、日本の民法が同性婚を認めていないという法的背景です。賃貸借契約において、配偶者として認められる権利関係(例えば相続・緊急連絡先の同居人としての扱い)が法律上明確でないため、保証会社や一部のオーナーが審査を慎重にするケースがあります。
ただし、近年は仙台市を含む多くの自治体でパートナーシップ制度が整備され、また不動産業界でも受け入れに積極的な事業者が増えています。適切な情報を持って物件探しをすることで、希望に合った住まいを見つけることは十分に可能です。
仙台市パートナーシップ宣誓制度とは
仙台市は2021年12月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。この制度は、法的な婚姻制度とは別に、市が同性パートナーの関係を公的に証明するものです。
宣誓書受領証が発行されると、以下のような場面で活用できます。
- 市営住宅への入居申込み(家族として申請可能)
- 市立病院での面会・手術同意(医療機関によって異なる)
- 仙台市が提供する各種行政サービスの家族扱い申請
宣誓の要件
- 両者が成年であること
- どちらか一方が仙台市民であること
- 双方が独身(婚姻関係のない)状態であること
- 近親者でないこと
宣誓は仙台市役所の担当窓口(生活文化スポーツ局市民協働推進課)で行います。費用は無料です。
ただし、パートナーシップ証明書は法的効力(相続権・扶養義務など)を持つものではなく、民間の賃貸物件における審査通過を保証するものでもありません。しかし、オーナーや管理会社への説明資料として提示することで、関係の公式性を示す有効な手段になります。
賃貸審査を通過するための実践的なアドバイス
LGBTカップルが賃貸審査を通過するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 物件を絞り込む前にエージェントに事前確認する
仙台市内の不動産会社の中には、LGBTQ+フレンドリーを明示している会社もあります。担当者に「同性カップルでも審査できる物件を紹介してほしい」と事前に伝えることで、難しい物件を避けて効率よく探せます。
2. 契約名義の方針を決める
- 1名名義で契約し、もう1名を同居人として届け出る:同居人の収入が審査に加算されないため、契約者の収入だけで審査を通す必要があります。
- 2名連名で契約する:どちらの収入も合算されやすいですが、「家族」として認められない場合、保証会社の審査が厳しくなることも。
3. 家賃設定を余裕ある水準に絞る
収入審査で問題が起きにくくするため、月収の25%以内に収まる物件を選ぶことが安定のコツです。
4. 保証人・保証会社の選定
LGBTカップルの審査に柔軟に対応する保証会社と、硬直的な保証会社があります。仙台市内では、居住支援法人として登録された事業者や、独立系の保証会社が対応できるケースが多い傾向です。
LGBTフレンドリーな物件・環境を見つけるコツ
受け入れに積極的な物件を探す際の手がかりとなる要素を紹介します。
大手ハウスメーカー・不動産会社系の物件
積水ハウス(シャーメゾン)・大和ハウス(D-ROOM)などの大手ハウスメーカー系物件は、グループとしてDEI(多様性・公平性・包括性)方針を定めているため、個人オーナーの判断に左右されにくいことが多いです。
賃貸検索サイトのフィルター機能の活用
SUUMOやHOME'Sなどの物件検索サービスでは、一部の物件で「LGBTQ+フレンドリー」の表示があるものも増えています。特定の条件で絞り込みができる場合は積極的に活用しましょう。
仙台市内のコミュニティや相談窓口
仙台市にはLGBTQの当事者・支援者が集まるコミュニティが複数存在します。住まい探しの体験談や、信頼できる不動産業者の情報をコミュニティ内で共有しているケースもあるため、SNSやコミュニティイベントを通じた情報収集も効果的です。
オーナー・管理会社としての対応姿勢
賃貸オーナーや管理会社の側からみると、LGBTカップルの入居受け入れは、法律上拒否を義務付けるものでも禁止するものでもありません。ただし、正当な理由のない入居拒否は、差別的取り扱いとして社会的批判を受けるリスクがあります。
国土交通省は「外国人・障がい者・高齢者・子育て世帯・LGBTカップルなどの入居を拒否しないことが望ましい」という方針を示しており、受け入れに積極的な物件は「住宅確保要配慮者向け登録住宅」として自治体に登録できる制度も整っています。
仙台市でも多様な入居者を受け入れることが地域の豊かさにつながるという観点から、オーナー・管理会社がLGBTフレンドリーな物件運営を選択することは、空室対策や社会的評価の向上という実務面でのメリットにもなります。
住まいは生活の基盤であり、すべての人が安心して住める環境を整えることが、仙台市の不動産市場全体の底上げにもつながります。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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