仙台市内には、住宅に困っている低所得世帯・高齢者・障害者・ひとり親世帯などを対象とした市営住宅が整備されています。民間賃貸と比較して家賃が安く、安定した住まいを確保できる一方で、入居には収入基準などの要件があり、申し込みから入居まで時間がかかることもあります。本記事では、仙台市の市営住宅制度の概要と実際の申し込み手順に加えて、「家賃はいくらなのか」「募集はいつなのか」「ペットは飼えるのか」といったよくある疑問に、仙台市と公益財団法人仙台市建設公社が公開している最新の募集情報をもとにお答えします。
仙台市の市営住宅とは
仙台市が管理・運営する市営住宅は、公営住宅法と仙台市営住宅条例に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する公共住宅です。国と市が協力して建設した市民共有の財産であり、申込資格や入居後のルールが細かく定められています。
募集や入居後の管理は、公益財団法人仙台市建設公社(青葉区国分町三丁目10番10号 仙台市役所国分町分庁舎)が担当しています。募集課への問い合わせは電話 022-399-7413 です。
市内各区(青葉区・宮城野区・若林区・太白区・泉区)に団地があり、単身向けの1DK・2Kから家族向けの3DK、4人以上の世帯向けの4DKまで、多様な間取りが用意されています。
仙台市営住宅の家賃はいくら?
市営住宅の家賃は「収入に応じた家賃制度」で決まります。同じ住戸でも、世帯の所得月額によって家賃が変わる仕組みです。
所得月額による8つの分位
家賃は公営住宅法に基づいて毎年度、住宅ごとに算定したうえで、世帯ごとの所得月額により決定されます。所得月額は次の8つの分位に分かれており、分位が上がるほど家賃も上がります。
| 分位 | 所得月額 |
|---|---|
| 1分位 | 0円〜104,000円 |
| 2分位 | 104,001円〜123,000円 |
| 3分位 | 123,001円〜139,000円 |
| 4分位 | 139,001円〜158,000円 |
| 5分位 | 158,001円〜186,000円 |
| 6分位 | 186,001円〜214,000円 |
| 7分位 | 214,001円〜259,000円 |
| 8分位 | 259,001円〜313,000円 |
所得月額は、世帯全員の課税所得を合計し、控除額を差し引いて12で割った金額です。申し込みができるのは一般世帯で4分位(158,000円)まで、裁量世帯(高齢者世帯・障害者世帯・未就学児のいる子育て世帯など)で6分位(214,000円)までです。
実際の家賃の例
家賃は団地・間取り・建設年度によって大きく異なります。仙台市建設公社が公表している定期募集の住宅一覧表から、令和8年度に適用される予定家賃の例を挙げます(一般階層の1分位から裁量階層の6分位までの幅。共益費は別途)。
| 住宅(区) | 間取り | 建設年度 | 予定家賃の幅 |
|---|---|---|---|
| 小松島(青葉区) | 2LDK | 昭和49年度 | 14,100円〜27,700円 |
| 鶴ケ谷第一(宮城野区) | 1DK | 平成21年度 | 15,500円〜30,500円 |
| 高砂(東)(宮城野区) | 3DK | 昭和62年度 | 22,300円〜43,900円 |
| 北六番丁(青葉区) | 4K | 平成23年度 | 33,900円〜66,500円 |
| 荒井西第二(若林区・戸建) | 3DK | 平成26年度 | 38,100円〜74,700円 |
古い中層住宅なら1万円台から、築年数の新しい高層住宅や戸建てでも所得が低い世帯なら3万円台からという水準で、同じエリアの民間賃貸と比べると大幅に低い家賃で入居できます。ただし家賃と共益費は毎年見直され、入居決定時に確定額が通知されます。表示額から増減することがある点にはご注意ください。
このほか入居時には敷金として家賃3か月分の納付が必要です。
収入が増えた場合
入居後3年以上経過し、所得月額が基準を超えると「収入超過者」として認定され、収入超過の年数に応じて割増家賃が加算されます。5年以上入居して2年連続で8分位を超えると「高額所得者」として明け渡しを求められます。市営住宅はあくまで所得の少ない世帯のための住まいであることを前提に、将来の収入見通しも含めて検討してください。
入居資格(申込資格)
仙台市営住宅に申し込むには、次の条件をすべて満たす必要があります。申込締切日の時点の状態で判断されます。
- 申込者本人が仙台市内に居住しているか、勤務地が仙台市内であること
- 現在、住宅に困っていること(持家がないこと)
- 申込世帯の所得月額が基準の範囲内であること(一般世帯158,000円以下、裁量世帯214,000円以下)
- 過去に市営住宅を不正に使用したことがないこと
- 世帯の中に、市町村民税・軽自動車税・固定資産税・都市計画税を滞納している人がいないこと
- 申込者本人が成年者であること
- 申込者本人が公営住宅に入居していないこと(UR賃貸住宅や公社賃貸住宅に入居中の方は申し込めます)
- 暴力団員でないこと(同居予定者を含む)
単身で申し込む場合
単身で申し込む方は、上記に加えて次のいずれかに該当する必要があります。
- 60歳以上の方
- 身体障害者手帳1〜4級の交付を受けている方
- 精神障害者保健福祉手帳1〜3級の交付を受けている方
- 指定難病に該当する方
- 生活保護を受けている方 など
また単身者は、募集住宅一覧表に「単身可」と記載されている住宅に限って申し込めます。
抽選の優遇措置
次に該当する世帯は、抽選時に優遇措置があります。
- ひとり親世帯(20歳未満の子を扶養している寡婦・寡夫)
- 多子世帯(18歳未満の子3人以上と同居)
- 高齢者世帯(60歳以上の単身、または60歳以上で同居者が配偶者・18歳未満・60歳以上の親族のみ)
- 配偶者等からの暴力被害者世帯
- 子育て世帯(小学校就学前の子と同居)
- 多数回落選者世帯(過去1年間に3回以上申し込み、いずれも落選または補欠から繰上げにならなかった方)
- 心身障害者世帯・戦傷病者世帯・原爆被爆者世帯・引揚者世帯・ハンセン病療養所入所者世帯・犯罪被害者等世帯
募集の種類とスケジュール
仙台市営住宅の募集は、年間を通じて次の4種類があります。
| 募集の種類 | 時期 | 決め方 |
|---|---|---|
| 定期募集(抽選方式) | 年2回(12月・3月) | 応募者が募集戸数を超えた場合は抽選 |
| 定期募集(ポイント方式) | 年2回(6月・9月) | 所得月額など複数の項目を点数化し、点数の高い世帯が当選 |
| 特定枠募集 | 年2回(1月・5月) | ひとり親・子育て・多子世帯のみが対象。抽選 |
| 常時募集 | 通年 | 募集課窓口で先着順 |
令和8年度の定期・特定枠募集の申込期間は、5月特定枠(5月1日〜16日)、6月定期(6月5日〜16日)、9月定期(9月4日〜16日)、12月定期(12月4日〜16日)、令和9年1月特定枠(1月6日〜16日)、令和9年3月定期(3月5日〜16日)と公表されています。定期募集は郵送のみの受付で、締切日の郵便局消印が有効です。
定期募集後に応募者が募集戸数に満たなかった住宅を先着順で募集する「随時募集」という制度もありますが、現在は休止中です。
空き状況を早く知りたい人は「常時募集」
「仙台市営住宅の空き状況が知りたい」という方に知っておいてほしいのが、令和8年5月20日から始まった常時募集です。定期募集で応募が集まらなかった住宅を対象に、仙台市建設公社募集課の窓口(平日8時30分〜16時30分)で先着順に受け付けています。電話やメールでは申し込めません。
常時募集の特徴は次のとおりです。
- 申込資格の確認と入居契約が必要なため、入居まで標準で1か月半かかる
- 緊急連絡人が必要
- 敷金(家賃3か月分)の納付が必要
- 定期募集・特定枠募集との併願はできない
募集中の住宅一覧は仙台市建設公社のウェブサイトで公開されており、「申込あり」の表示がある住戸は先に応募が入っています。抽選を待たずに入居したい方は、定期募集の結果を待つよりも常時募集の一覧をこまめに確認するほうが早い場合があります。
抽選倍率の実態
「市営住宅は倍率が高くて当たらない」と言われますが、実際には住戸によって大きな差があります。令和8年9月定期募集の住宅一覧表に記載された「前回募集戸数」と「前回応募者数」を見ると、次のような傾向がわかります。
- 単身可の2K・1DKで築年数が新しく、エレベーターのある住戸は応募が集中します。例えば若林区の卸町2K(平成26年度)は前回1戸の募集に138人、六丁の目西町2K(平成25年度)は1戸に80人、青葉区の通町3K(平成25年度)は1戸に58人が応募しています
- 戸建ての荒井西第二3DKは1戸に59人と、こちらも高倍率です
- 一方でファミリー向けの古い中層住宅は応募が少なく、青葉区の川平3DK(昭和54年度)は5戸の募集に応募0人、太白区の茂庭第一3DKは22戸の募集に応募3人でした
つまり「新しい・小さい・単身可・エレベーター付き」の住戸は数十倍になる一方、昭和50年代の中層3DKは抽選なしで入れることも珍しくありません。ポイント方式の募集では住宅困窮度が高い世帯ほど有利になるため、条件にこだわらなければ入居できる可能性は十分にあります。
申し込みから入居までの流れ
- 募集情報の確認:仙台市建設公社のウェブサイトや市政だよりで募集時期と住宅一覧を確認します。「入居募集のごあんない」は建設公社募集課、市役所本庁舎2階の市政情報センター、各区役所の案内窓口などで配布されます
- 申込書の郵送:定期募集は郵送のみの受付です
- 一次審査:申込書の記載内容による審査で、有資格者には抽選番号のハガキが届きます
- 抽選会:当選者・補欠者・落選者が決まり、結果はハガキで通知されます
- 二次審査:当選者は指定された書類(収入証明など)を提出し、書類審査を受けます
- 入居説明会:市営住宅で暮らすうえでの決まりごとの説明があります
- 入居手続き:敷金の領収書、緊急連絡届、賃貸契約書などを提出します
- 入居:入居許可日から住むことができます
ポイント方式の募集では一部手順が異なります。
ペットは飼える?
仙台市営住宅では、原則としてペットは飼育できません。募集住宅一覧表にも「ペットは飼育できません」と明記されています。
例外として、車いす住宅の一部に「ペットと一緒に入居可能な住宅」が設けられています(令和8年9月募集では青葉区落合の2DKが該当)。ただし申し込みできるのは、身体障害者手帳の交付を受けて常時車いすを使用し、かつ申込締切日の時点ですでにペットを飼育している世帯に限られます。一般の世帯がペットと暮らすことを前提に市営住宅を選ぶことはできないとお考えください。
市営住宅と民間賃貸の比較
| 比較項目 | 市営住宅 | 民間賃貸 |
|---|---|---|
| 家賃 | 所得に応じて低廉(1万円台〜) | 市場価格に連動 |
| 入居の自由度 | 要件・抽選あり | 審査通過で比較的自由 |
| 設備 | 昭和50年代築の中層住宅も多い | 物件により様々 |
| 入居までの期間 | 定期募集は数か月、常時募集は標準1か月半 | 1〜2か月程度 |
| ペット | 原則不可 | 物件により可 |
| 収入が増えたとき | 割増家賃・明け渡しの対象になる | 影響なし |
民間賃貸であれば、ペット可のシャーメゾン特集やペット可物件一覧はこちらなど、市営住宅では選びにくい条件の物件も選択肢に入ります。
申し込みの注意点
- 定期募集は年4回しかなく、締切を逃すと次回まで待つことになります。申込期間は各月の上旬から16日前後までと短いため、早めに書類を揃えてください
- 階数や間取りの指定はできず、募集住宅は前の入居者が退去した住戸を修繕して募集しています。新築のような状態ではありません
- 市営住宅は居住専用です。事業所利用や又貸し、民泊運営は禁止されています
- 家賃の納入期限は毎月末日で、滞納が続くと明け渡し請求の対象になります
民間賃貸と組み合わせた住まい探し
市営住宅への申し込みを検討しながら、当選するまでの間は民間賃貸に住むのが一般的です。仙台市内では、低家賃の民間賃貸と住居確保給付金などの支援制度を組み合わせることで、安定した住まいを確保できる場合があります。
転勤などで仙台に短期〜中期で住む方は仙台転勤ガイドも参考にしてください。エリア別では、青葉区上杉エリアの物件、青葉区錦町エリアの物件、宮城野区エリアの物件、若林区荒井エリアの物件など、区ごとの賃貸情報も確認できます。
参考情報
制度の詳細や最新の募集状況は、次の公式サイトでご確認ください。
まとめ
仙台市の市営住宅は、所得月額158,000円以下(裁量世帯は214,000円以下)の世帯が対象で、家賃は所得に応じて1万円台から7万円台まで幅があります。募集は定期募集が年4回、特定枠募集が年2回あるほか、先着順の常時募集も始まっており、条件にこだわらなければ抽選なしで入居できる住戸もあります。要件に該当するかどうかを事前に確認し、早めに申し込みを検討することをおすすめします。
エムアセッツでは、民間賃貸を中心に仙台市内の住まい探しをサポートしております。市営住宅への移行を検討しながら短期〜中期の民間賃貸をお探しの方は、所有物件一覧はこちらからご確認いただくか、お問い合わせはこちらよりお問い合わせください。そのほかの疑問はよくある質問、住まい探しの参考には不動産コラム一覧もご覧ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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