不動産売買契約書とは何か
[[不動産売買](/column/fudosan-baibai-shouhizei-tochi-hkazei-tatemono-kazei)契約書](/column/fudosan-inshizei-uribaiyaku-keigen-guide)は、売主と買主が不動産取引の条件に合意したことを示す法的効力を持つ文書です。宅地建物取引業法(宅建業法)第37条では、宅建業者が売主または媒介業者として関与する取引において、一定の記載事項を含む書面(37条書面)を交付することが義務付けられています。
売買契約書は、重要事項説明書とは別の書類です。重要事項説明書が「物件に関する情報の開示」を目的とするのに対し、売買契約書は「合意した取引条件の記録」を目的としています。両方を照合しながら理解することが重要です。
売買契約書の主な構成と各条項の意味
不動産売買契約書は業者や物件によって細部は異なりますが、一般的に以下のような構成になっています。
① 表題部(基本情報)
物件の所在地・地番・地目・地積(土地)、所在・家屋番号・構造・床面積(建物)などの基本情報と、売主・買主双方の氏名・住所・連絡先が記載されます。記載内容が登記簿と一致しているか確認が必要です。
② 売買代金と支払い方法
売買代金の総額、手付金の金額・支払日、残代金の金額・支払日(決済日)が明記されます。手付金は通常、売買代金の5〜10%程度が相場ですが、上限は宅建業法で売買代金の20%以内と定められています(宅建業者が売主の場合)。残代金の支払いは住宅ローンの融資実行日に合わせて設定されるのが一般的です。
③ 所有権の移転と引渡し
所有権がいつ買主に移転するか(残代金支払日が一般的)、物件の引渡し日はいつかが定められます。引渡し日までに売主が物件を空にしておく義務も通常含まれます。
④ 抵当権等の抹消
売主に住宅ローン等の抵当権が設定されている場合、残代金の受領と同時に抵当権を抹消することが明記されます。決済当日に抵当権抹消の手続きが同時に行われるのが通常の流れです。
⑤ 危険負担
契約締結後・引渡し前に、売主・買主どちらの責任でもない理由(天災など)で物件が滅失・損傷した場合の取り扱いについての条項です。現行の民法(2020年改正後)では原則として買主は代金支払義務を免れることができますが、契約書に特約を設けている場合はその内容が優先されます。
⑥ 契約不適合責任(瑕疵担保責任)
物件の引渡し後に、契約の内容に適合しない状態(雨漏り・シロアリ被害・設備の欠陥など)が発見された場合の売主の責任についての条項です。民法では買主は売主に対して補修請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を行うことができますが、契約書で責任の範囲や期間を制限している場合もあります(特に中古物件では「現状渡し・瑕疵担保免責」とすることも多い)。
⑦ ローン特約(融資特約)
住宅ローンを利用して購入する場合、融資が承認されなかった場合に契約を白紙解除できる条項です。融資承認を取得できる期限(多くは1〜2ヶ月後)と、解除した場合には手付金が全額返還されることが記載されます。ローンを使わないキャッシュ購入の場合は記載されません。
⑧ 手付解除
売買契約締結後、一定期間内であれば、買主は手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を返還することで、それぞれ契約を解除できる条項です。「手付解除の期日」が設定されており、この期日を過ぎると手付による解除はできなくなります。
⑨ 特約条項
上記の標準条項に加え、個別の取引条件を定めた特約が記載されます。例えば「引渡しまでに売主が特定の設備(エアコン等)を撤去する」「特定の補修工事を行う」「境界確定を引渡し前に完了する」などが典型例です。特約は個別交渉によって内容が決まるため、特に丁寧に内容を確認する必要があります。
署名前に特に注意して確認すべき3点
物件情報の正確性:契約書に記載された所在地・地番・建物の規模が、登記簿謄本や実測の内容と一致しているかを確認します。差異がある場合はその扱いを明確にする必要があります。
ローン特約の期限:融資承認期限が設定されている場合、金融機関への審査申込が間に合うか事前に確認しましょう。期限切れで融資が通らなかった場合でも白紙解除ができなくなるリスクがあります。
特約の内容と引渡し条件:現状渡しか補修あり渡しか、設備の帰属、境界の確認状況など、個別合意事項が正確に記載されているかを必ず確認します。口頭で約束したことでも、契約書に記載がなければ法的効力が弱くなります。
署名後は保管が義務
売買契約書は署名・捺印後に1通が買主に交付されます。登記手続き・住宅ローン申請・確定申告・将来の売却時など、長期にわたって参照が必要となる大切な書類です。紛失しないよう重要書類として安全な場所に保管してください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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