住宅ローンは人生最大の借入となるため、金利や補助金の有無で総返済額が数百万円単位で変わります。国や自治体は省エネ住宅・子育て世帯向けに様々な優遇制度を用意しているため、購入前に活用できる制度を把握しておきましょう。
フラット35Sの仕組みと金利優遇
フラット35Sは、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利住宅ローン「フラット35」に、省エネルギー性・耐震性などの基準を満たす住宅を購入する場合に金利引き下げ優遇が受けられる制度です。
金利引き下げ幅は、基準により異なります。ZEH住宅・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅などの高性能住宅を購入する場合、当初10年間は年0.5%の金利引き下げ(フラット35S金利Aプラン)、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅では当初5年間年0.25%引き下げ(金利Bプラン)が適用されます。
例えば借入額3,000万円・返済期間35年・金利1.5%のケースで、フラット35S(金利Aプラン)を利用すると当初10年間の金利が1.0%になり、総返済額で約150万円の削減効果が得られます。
申請方法は、フラット35取扱金融機関(銀行・信用金庫・モーゲージバンク等)に住宅ローン申込時に「フラット35S適用希望」と伝え、物件が基準を満たすことを証明する適合証明書を提出します。適合証明書は建築士や指定検査機関が発行するため、購入する住宅の売主や施工業者に取得を依頼してください。
こどもエコすまい支援事業の補助金
こどもエコすまい支援事業は、子育て世帯または若者夫婦世帯が省エネ性能の高い新築住宅を購入する場合に最大100万円の補助金が交付される制度です(2024年度からの継続事業、2026年度も同様の制度が予定されています)。
対象要件は、申請時点で18歳未満の子を有する子育て世帯、または夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯が、ZEH・長期優良住宅・低炭素住宅のいずれかを購入することです。
補助額は住宅の性能により異なり、ZEH住宅で100万円、長期優良住宅・低炭素住宅で80万円が標準です。さらに東北地方などの豪雪地帯では補助額が加算される場合があります。
申請手続は、住宅を購入する際に施工業者や販売事業者が補助金申請を代行する形が一般的です。購入契約前に「こどもエコすまい支援事業の対象になるか」を確認し、対象であれば事業者に申請を依頼してください。補助金は事業者を通じて購入者へ還元される仕組みのため、契約時に「補助金相当額を値引き」または「引渡し後に振込」のどちらで受け取るか確認しましょう。
自治体独自の住宅取得補助金
仙台市では市独自の住宅取得補助制度として、特定のエリアへの移住促進や子育て世帯支援を目的とした補助金を実施している場合があります(年度によって制度内容が変わるため、購入時に仙台市住宅政策課へ確認してください)。
過去には、市外から仙台市へ転入して住宅を取得する世帯に対し、最大50万円の補助金を交付する制度や、市内の空き家を購入してリフォームする場合に費用の一部を補助する制度が実施されていました。
地方銀行・信用金庫の独自金利優遇
仙台市内に本店を置く地方銀行(七十七銀行・仙台銀行)や信用金庫(杜の都信用金庫)では、地元企業の従業員や給与振込口座利用者を対象に、住宅ローン金利を優遇するサービスを提供しています。
例えば、給与振込と公共料金引き落としをセットで利用すると、基準金利から年0.1~0.3%程度の金利引き下げが受けられるケースがあります。メガバンクの金利と比較して地方銀行が必ずしも低いわけではありませんが、地元企業との取引実績があると審査が通りやすい、担当者が親身に相談に乗ってくれるといったメリットもあります。
財形住宅融資と勤務先の住宅補助
勤務先で財形貯蓄を1年以上行っており、残高が50万円以上ある場合、財形住宅融資(住宅金融支援機構)を利用できます。財形貯蓄残高の10倍(最大4,000万円)まで、5年固定金利で融資を受けられ、金利は一般の住宅ローンより低めに設定されています。
また、企業によっては独自の住宅取得補助金や利子補給制度を設けている場合があります。購入前に勤務先の福利厚生担当へ確認しましょう。
住宅ローン減税との併用
上記の補助金・低金利融資は、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)と併用できます。住宅ローン減税は年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税・住民税から最大13年間控除する制度で、認定長期優良住宅・ZEH住宅では借入限度額が一般住宅より高く設定されています。
例えば認定長期優良住宅を5,000万円のローンで購入した場合、13年間で最大455万円の減税を受けられます。フラット35Sやこどもエコすまい支援事業と組み合わせれば、総額で数百万円規模のメリットが得られる計算です。
申請スケジュールと注意点
補助金・優遇制度の多くは予算上限に達した時点で受付終了となるため、年度初めの早い時期に申請することが重要です。特にこどもエコすまい支援事業は人気が高く、過去には年度途中で予算が尽きて募集終了となったケースもあります。
フラット35Sの適合証明書取得には1~2週間かかるため、物件の引渡し予定日から逆算して余裕を持って手続きを進めてください。自治体の補助金は申請から交付まで2~3か月かかる場合もあるため、住宅引渡し前に申請を完了させておくことが望ましいです。
まとめ
住宅ローンの補助・低金利融資制度を活用すれば、総返済額を大幅に削減できます。フラット35Sは省エネ住宅で当初10年間金利0.5%引き下げ、こどもエコすまい支援事業は子育て世帯に最大100万円補助、仙台市独自の補助制度も年度により実施されています。購入契約前に物件が各制度の対象要件を満たすか確認し、施工業者・金融機関・自治体へ早めに申請しましょう。住宅ローン減税との併用で、さらに大きな経済的メリットが得られます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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