不動産を売却しようと不動産会社に依頼したのに、なかなか買い手が見つからない——その原因が「囲い込み」にあるケースがあります。囲い込みは売主にとって大きな不利益をもたらす問題ですが、仕組みを理解することで対策は十分に可能です。本記事では仙台での不動産売却を検討している方向けに、囲い込みの実態と防止策を解説します。
囲い込みとは何か
「囲い込み」とは、売却を依頼された不動産会社が、他社の購入希望者からの問い合わせを意図的にブロックし、自社の顧客だけで売買を成立させようとする行為のことです。
なぜこのようなことが起きるのか。背景にあるのは不動産仲介の報酬体系です。
| 取引形態 | 仲介手数料の収入 |
|---|---|
| 片手取引(売主側のみ) | 売却価格の3.3%(税込み・概算) |
| 両手取引(売主・買主双方) | 売却価格の6.6%(税込み・概算) |
売主と買主の両方から手数料を得る「両手取引」は、片手の2倍の収益になります。そのため、他社が見つけた買い手に売ってしまうより、自社顧客との取引にこだわる動機が生まれます。
囲い込みが起きやすい媒介契約の種類
媒介契約には以下の3種類があります。
一般媒介契約:複数の不動産会社に依頼できる。囲い込みは起きにくいが、各社の対応が分散しがち。
専任媒介契約:1社のみに依頼。レインズへの登録義務あり(7日以内)、2週間に1回の報告義務あり。
専属専任媒介契約:1社のみ。レインズへの登録は5日以内、1週間に1回の報告義務あり。
囲い込みが起きやすいのは専任媒介・専属専任媒介です。他社に紹介されたくないため、レインズへの登録を意図的に遅らせたり、他社からの問い合わせに「商談中」「売却済み」などと虚偽の回答をするケースがあります。
レインズとは何か
レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)は、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する物件情報ネットワークです。全国の不動産業者が物件情報を共有するシステムで、専任媒介・専属専任媒介の場合は法律上の登録義務があります。
レインズに登録されると、全国の不動産会社が買い手を見つける可能性が広がります。囲い込みが行われるとレインズへの登録が遅延されたり、登録後も他社からの問い合わせがブロックされたりします。
囲い込みを見抜く5つのサイン
依頼した不動産会社が囲い込みをしていないか確認するためのチェックポイントです。
1. レインズ登録証明書の提示を求める
専任媒介・専属専任媒介では、仲介業者はレインズへの登録を証明する「登録証明書」を発行する義務があります。依頼後7日以内(専属は5日以内)に提示を求めましょう。
2. レインズで自分の物件を確認する
2023年以降、売主は一般消費者向けのレインズマーケットインフォメーションを参照できますが、登録状況の詳細確認には業者の協力が必要です。登録番号を教えてもらい、登録されているか確認してください。
3. 他社が実際に問い合わせできるか確認する
知人に頼むか別の不動産会社経由で「問い合わせ客のふりをして問い合わせてもらう」方法で確認できます。「商談中」「他のお客様と話が進んでいる」という回答が続く場合は注意が必要です。
4. 内見件数と報告頻度を確認する
専任媒介では2週間に1回以上の活動報告義務があります。報告が形式的で内見件数が著しく少ない場合、囲い込みを疑う根拠となります。
5. 売り出し価格と査定価格の差
相場より高く査定して専任媒介を取得し、他社をブロックしながら値引き交渉で自社客と成立させる手法もあります。査定時に他社比較を行うことが有効です。
囲い込みを防ぐための実践的な対策
複数社に査定を依頼してから媒介契約を結ぶ
最初から1社に絞らず、2〜3社の査定を比較することで、業者の誠実さと市場理解を見極めましょう。
一般媒介契約を活用する
売却を急がない場合や人気エリアの物件では、一般媒介で複数社に依頼することで、自然に囲い込みを回避できます。
契約書に「囲い込み禁止条項」を入れる
交渉次第では、「レインズ登録後に他社からの問い合わせを正当な理由なく断らない」旨の特約を契約書に盛り込めるケースもあります。
売主としてレインズ登録状況を定期確認する
媒介契約後、業者に「毎週レインズの登録状況を報告してほしい」と依頼することで、業者に透明性を求めることができます。
囲い込みが発覚した場合の対応
証拠がある場合、以下の対応が可能です。
- 媒介契約の解除:違約事由として契約解除を主張できます
- 宅建業法の違反として申告:都道府県の宅建業担当窓口や国土交通省へ苦情申し出が可能
- 損害賠償請求:囲い込みにより適正価格より低い金額で売却を余儀なくされた場合
実際には証明が難しいケースも多いため、事前の対策と業者選びが最も重要です。
仙台で信頼できる不動産会社を選ぶ基準
仙台市内でも囲い込みのリスクは存在します。信頼できる業者の特徴として以下が挙げられます。
- レインズ登録を速やかに行い、証明書を自発的に提示する
- 報告が定期的かつ具体的(内見件数・問い合わせ件数・反応)
- 「両手にこだわらない」ことを明言している
- 地域密着で評判・実績が確認できる
まとめ|売主が知識を持つことが最大の防衛策
囲い込みは不動産業界の構造的な問題であり、完全になくすことは難しいのが現状です。しかし、売主がレインズの仕組みを理解し、業者の行動を監視する姿勢を持つことで、リスクを大幅に低減できます。
仙台での不動産売却に関するご相談は、売主の立場に立ったエムアセッツにお気軽にお問い合わせください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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