太陽光発電を活用した土地活用は、東日本大震災後の宮城県内で数多く行われてきました。しかし固定価格買取制度(FIT)には決められた買取期間があり、その満了(通称「卒FIT」)を迎えると、それまでと同じ条件で売電を続けることはできなくなります。仙台エリアで太陽光発電を使った土地活用を行っているオーナーにとって、卒FIT後にどう対応するかは資産運用上の重要な分岐点です。
FIT制度と買取期間の基本
FIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを国が保証する制度です。買取期間は発電設備の区分によって異なります。
- 住宅用(出力10kW未満): 買取期間10年間
- 産業用・野立て等(出力10kW以上): 買取期間20年間
土地活用として更地や遊休地に設置する野立て太陽光発電の多くは10kW以上の産業用に該当するため、買取期間は20年間です。震災復興期の2012年から2015年頃に稼働を始めた設備であれば、卒FITを迎えるのは2032年から2035年頃が中心になります。一方、住宅の屋根に設置した10kW未満の設備は10年間で買取期間が終わるため、2010年代前半に設置した住宅用太陽光は既に卒FITを迎えているケースも多くあります。
卒FIT後に起きること
買取期間が満了すると、国が保証する固定価格での買取は終了します。その後は次のいずれかの形で電気の扱いを継続することになります。
- 電力会社や新電力と個別に売電契約を結び直す(相対取引)
- 蓄電池を導入し、発電した電気を自家消費に回す比率を高める
- 電気自動車(EV)を蓄電池代わりに活用する
- 発電設備を含めたまま土地・建物を売却する
- 設備を撤去し、土地を別の用途に転用する
固定価格保証がなくなる分、卒FIT後の売電単価はFIT期間中より下がるのが一般的です。そのため「売電中心」から「自家消費中心」へ発想を切り替えるオーナーが増えています。賃貸物件に併設した太陽光であれば、共用部の電気代を太陽光でまかなう、蓄電池と組み合わせて停電時の非常用電源として入居者に訴求するといった活用法も考えられます。
土地活用オーナーが卒FIT前に確認しておきたいこと
卒FITは買取期間の満了日が来てから慌てて考えるものではなく、事前に選択肢を整理しておくことが重要です。
- 現在契約している電力会社に、卒FIT後の買取条件について確認する
- 蓄電池を導入する場合の設置スペース・費用対効果を試算する
- パネルや パワーコンディショナ(パワコン)の劣化状況・残存性能を点検する
- 発電設備を含めた土地・建物の売却を選択肢に入れる場合は、設備の帳簿価額や撤去費用も含めて整理する
- 発電事業を賃貸経営や他の土地活用と組み合わせている場合は、全体の収支計画を見直す
太陽光パネル自体は一般的に20年以上の長期稼働を前提に設計されているものが多く、卒FIT後も発電自体は継続できるケースがほとんどです。問題は「発電した電気をどう収益や便益に変えるか」という出口戦略であり、これは土地活用全体の見直しタイミングでもあります。
相続・売却時に押さえておきたい視点
太陽光発電設備付きの土地を相続する場合、発電設備は償却資産として固定資産税(償却資産税)の申告対象になります。相続や売却の際には、設備の残存耐用年数や現在の発電状況、FIT期間の残り年数(またはすでに卒FITを迎えているか)を整理しておくと、その後の意思決定がスムーズになります。とくに20kW未満の低圧発電設備であっても、遠隔監視データやメンテナンス記録が残っていれば、売却時の資料として有用です。
土地活用として太陽光発電を選んだ経緯や当初の収支計画を振り返りつつ、卒FIT後の選択肢を早めに整理しておくことが、資産価値を維持するうえで欠かせません。設備付きの土地の売却を検討する場合、エムアセッツでは売却のお問い合わせを受け付けており、地元の信頼できる仲介会社をご紹介しています。
蓄電池導入を検討する際のポイント
卒FIT後の選択肢としてよく挙がるのが蓄電池の導入です。自家消費率を高めることで、電力会社からの購入電力を減らし、電気代の負担を抑える効果が期待できます。導入を検討する際は、以下の点を確認しておくとよいでしょう。
- 蓄電容量と、実際の電気使用パターン(日中・夜間の使用量バランス)が合っているか
- 停電時に使いたい家電・設備の消費電力を蓄電池でまかなえるか
- 設置スペースと重量に建物・敷地が対応できるか
- 導入費用の回収期間を、電気代削減効果と照らして試算できているか
賃貸物件のオーナーの場合、共用部の照明・エレベーターなどの電気代を太陽光と蓄電池でまかなえれば、管理コストの削減につながります。一方で、入居者専有部の電気代への充当は契約形態によって扱いが異なるため、既存の管理会社や電力契約の窓口に確認しながら進める必要があります。
まとめ
卒FITは、太陽光発電を使った土地活用における一つの大きな節目です。買取期間が終わった瞬間に収益がゼロになるわけではありませんが、それまでと同じ発想のままでは収益性が下がってしまいます。売電契約の見直し、蓄電池導入による自家消費化、設備込みでの売却など、複数の選択肢を早めに比較検討し、土地活用全体の出口戦略の一部として位置づけておくことが、仙台エリアで太陽光発電付きの土地を所有するオーナーにとって重要なポイントです。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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