住宅セーフティネット制度とは
2017年に施行された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)は、高齢者・障害者・低所得者・子育て世帯・外国人などの「住宅確保要配慮者」が安定した住まいを確保できるよう支援する法律です。
この法律に基づき創設された「登録住宅制度」では、オーナーが自分の空き物件を「セーフティネット住宅」として登録し、住宅確保要配慮者への入居を促進するしくみです。DV(ドメスティックバイオレンス)被害者やストーカー被害者も、この制度の対象となります。
DV・ストーカー被害者が直面する住まいの問題
DV被害者やストーカー被害者は、加害者からの追跡・接触を避けるために住所を隠す必要があります。しかし、賃貸契約の際には住民票や緊急連絡先の提供が求められることが多く、住所情報の漏洩リスクが課題となります。
また、精神的なダメージや緊急避難の状況から、十分な貯金や安定した収入を証明できないことが多く、通常の入居審査を通過することが困難なケースがあります。シェルターを退所した後の次の住まいの確保が特に難しいのが現状です。
住宅確保要配慮者の範囲
住宅セーフティネット法における「住宅確保要配慮者」には以下の方々が含まれます。
- 収入が一定以下の低額所得者(生活保護受給者・住居確保給付金受給者含む)
- 高齢者(単独世帯含む)
- 障害者(身体・精神・知的障害)
- 子育て世帯(18歳未満の子がいる世帯)
- 外国人
- 犯罪被害者(DV・ストーカー被害者を含む)
- 更生保護対象者(刑事施設退所者)
- 東日本大震災等の被災者
DV被害者が利用できる主な支援制度
配偶者暴力相談支援センターへの相談
仙台市には「仙台市配偶者暴力相談支援センター(よりそいホットライン・せんだいサポートセンター)」が設置されています。緊急の場合は一時保護(シェルター入所)が利用できます。
シェルターを退所した後の住まい探しについても、センターのスタッフが自治体住宅部局や居住支援法人と連携して支援します。
住民票の移転と住所秘匿
DV・ストーカー被害者は、加害者に住所を知られないよう「支援措置」を申請できます。住民票の閲覧制限を受けることで、加害者が住民票の写しを取得することを防ぐことができます。
新住所の住民票を取得した場合に「支援措置」の申請をしておくことで、第三者(加害者)による住民票の不正取得を防止できます。賃貸契約の際も、管理会社に対してこの制度を説明し、住所情報の取り扱いについて配慮を求めることが重要です。
居住支援法人の活用
宮城県や仙台市が指定する「居住支援法人」は、住宅確保要配慮者の入居支援を専門に行うNPO・社会福祉法人等です。DV被害者の場合も対応しており、物件探しから入居後のサポートまで支援してもらえます。
居住支援法人の紹介は、各区の区役所住宅課や仙台市住宅政策課に相談することで受けることができます。
緊急小口資金・総合支援資金
経済的な困窮状況にある場合、社会福祉協議会が窓口となる「緊急小口資金」や「総合支援資金」の貸付制度を利用できます。敷金・礼金・引越し費用の初期費用に充てることができる場合があります。
登録住宅制度でオーナーが受けられるメリット
住宅セーフティネット法の登録住宅制度では、オーナーが空き物件を登録することで、以下のメリットがあります。
改修費の補助:バリアフリー化や耐震改修など、住宅確保要配慮者向けに物件を改修する場合、国・自治体からの補助金(最大250万円程度、要件による)が活用できます。
家賃の低廉化補助:市場家賃より低い家賃で要配慮者に提供した場合、差額の一部(月額最大4万円程度)を補助する制度があります(自治体の予算次第)。
空室対策としての活用:要配慮者向けの登録住宅は行政や居住支援法人から入居者を紹介してもらえるルートができるため、空室解消につながります。
社会貢献としての価値:地域の住宅確保要配慮者を支援するという社会的意義があり、長期入居・安定入居につながることが多いです。
登録住宅として登録する手順
- 宮城県または仙台市の住宅担当部局(宮城県建築宅地課または仙台市住宅政策課)に相談
- 登録基準(面積・設備・耐震性など)を確認
- 必要書類を準備して申請
- 登録後、「セーフティネット住宅情報提供システム」に掲載される
登録は基本的に無料で行えます。
仙台でDV被害者・ストーカー被害者が住まいを探す際の実務
実際に仙台でDV・ストーカー被害者が賃貸住宅を探す場合のステップは以下の通りです。
ステップ1:配偶者暴力相談支援センター・よりそいホットライン(0120-279-889)に相談し、一時保護や支援の手続きを開始する。
ステップ2:安全な住所に移転後、住民票の支援措置を申請する。
ステップ3:区役所の生活支援課や住宅課を通じて、居住支援法人や登録住宅の情報を入手する。
ステップ4:必要に応じて緊急小口資金・総合支援資金の申請を行い、初期費用を確保する。
ステップ5:居住支援法人と連携した不動産会社(エムアセッツを含む)に相談し、物件探しと入居手続きを進める。
まとめ
住宅セーフティネット制度は、DV・ストーカー被害者を含む「住宅確保要配慮者」が安全な住まいを確保するための重要な仕組みです。仙台市内にも行政・居住支援法人・不動産会社が連携した支援ネットワークがあり、一人で抱え込まずに相談することが最初の一歩です。
オーナーにとっても、登録住宅制度への参加は補助金活用や空室対策の観点から有益です。社会貢献と収益の両立を目指す不動産経営の選択肢として、検討する価値があります。
エムアセッツでは、住宅確保要配慮者への対応についてもご相談を承っています。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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