日銀の金融政策正常化(利上げ)が進む中、住宅ローンの変動金利が上昇し始めています。仙台でマイホームを購入した方、またはこれから購入を検討している方にとって、「今の変動金利を維持すべきか、固定金利に切り替えるべきか」は重要な判断です。金利動向は日々のニュースでも取り上げられますが、実際にどの程度家計に影響するのかは、借入額や返済期間、金融機関との契約内容によって大きく異なります。本記事では、変動金利と固定金利それぞれの特徴と、切り替えを検討する際に押さえておきたい実務的なポイントを整理します。
2026年時点の金利環境
日銀は2024年以降、段階的に利上げを継続しており、政策金利は0.25〜0.5%程度まで引き上げられています。変動金利型住宅ローンの基準金利(店頭表示金利)は多くの銀行で2.5〜3%程度に上昇(実際の適用金利は各行の優遇幅により異なります)。
固定金利(全期間固定・フラット35等)は変動金利より高めですが、金利上昇局面では相対的な安心感から需要が増えています。
店頭表示金利と実際に適用される金利(優遇後金利)には差があり、その優遇幅は借入時期のキャンペーンや、給与振込・クレジットカード利用など金融機関ごとの条件によって変わります。そのため、同じ「変動金利」であっても契約者ごとに実際の返済額は異なります。借り換えや金利プラン変更を検討する際は、現在契約している金融機関に自分に適用されている金利と優遇条件を確認することが第一歩になります。
変動金利と固定金利の比較(参考シミュレーション)
前提条件
- 借入額: 2,500万円
- 返済期間: 35年
- 変動金利(現在): 年0.8%(適用金利)
- 固定金利(全期間): 年1.8%
| 金利タイプ | 月額返済(現在) | 35年総返済額 |
|---|---|---|
| 変動0.8% | 約67,000円 | 約2,814万円 |
| 固定1.8% | 約80,000円 | 約3,360万円 |
月額で約1.3万円、総額で約546万円の差があります。これが「変動を維持するメリット」です。
ただし、これはあくまで一例の試算であり、実際の返済額は借入時期・金融機関・審査結果によって変わります。試算をする際は、以下のような要素もあわせて確認しておくと、より実態に近い比較ができます。
- 返済方式(元利均等返済か元金均等返済か)によって、当初の返済負担や総返済額が変わります。
- ボーナス払いを併用するかどうかで、月々の返済額と年間の返済額配分が変わります。
- 団体信用生命保険(団信)の保障内容によって、上乗せ金利や保険料の負担が発生する場合があります。
- 保証料や事務手数料の支払い方法(借入時に一括か、金利に上乗せか)によって、初期費用と長期的な総返済額のバランスが変わります。
損益分岐点:何%まで変動金利が上がると固定が有利か
現在の変動金利0.8%と固定1.8%の差1%を基準に考えると、変動金利が平均して年1.8%を超えて推移する期間が長くなると、固定金利に切り替えた方が総支払額は少なくなります。
5年後に変動金利が1.5%になり、さらに5年後に2.5%になるという段階的上昇シナリオでは、固定1.8%と比較して最終的には変動有利〜ほぼ同額になるケースが多くなります。
損益分岐点は、借入残高の大きさや返済期間の残り年数によっても変わります。一般的に、借入からの経過年数が浅く元本残高が多い時期ほど、金利上昇が総返済額に与える影響は大きくなりやすいと考えられます。逆に返済が進み残高が減ってからの金利上昇は、同じ上昇幅でも影響が相対的に小さくなります。そのため、現在の借入からどの程度年数が経過しているか、残りの返済期間がどれくらいかも、変動継続と固定転換のどちらを選ぶかを考えるうえで重要な材料になります。
金利切り替えの判断基準
変動継続が向いている方
- 繰上げ返済の余力がある(金利上昇分を繰上げで吸収できる)
- 借入残高が少ない(残高2,000万円未満)
- ローン残期間が10年以内
固定転換が向いている方
上記に加えて、今後予定しているライフイベント(教育費の増加、車の買い替え、親の介護費用など)が家計にどの程度の影響を与えるかも判断材料になります。固定費に占める住宅ローン返済額の割合が高い家庭ほど、金利変動によって家計全体が不安定になりやすいため、返済額が変わらない安心感を重視して固定金利を選ぶ考え方もあります。反対に、貯蓄や資産に余裕があり、金利上昇時にも柔軟に対応できる家庭では、変動金利を継続しながら状況を見て判断する選択肢も検討できます。
切り替えの手数料・費用
固定金利への切り替えには以下のコストが発生します。
- 固定金利特約への変更手数料: 銀行により1〜3万円
- 借り換え(他行への乗り換え): 登記費用・保証料・手数料合計で30〜60万円程度
切り替えコストを回収するまでに何年かかるかを計算した上で判断することが重要です。マイホーム購入後に住み替えや売却を検討するケースでは、不動産売却ガイドもあわせてご確認ください。
検討を進める際に確認しておきたいポイント
実際に金利プランの見直しを検討する場合は、次のような点を事前に整理しておくとスムーズです。
- 現在借りている金融機関で金利プラン変更(同一行内での固定金利への切り替え)が可能か、それとも他行への借り換えが必要かを確認する。
- 他行への借り換えの場合は、事前審査・本審査が必要になるため、時間的な余裕を持って手続きを進める。
- 固定期間選択型を検討する場合は、固定期間が終了した後の金利がどのように決まるのかもあわせて確認する。
- 保証料や事務手数料の負担方法(借入時一括か、金利への上乗せか)を比較し、初期費用と長期的な総返済額の両方で検討する。
- 判断に迷う場合は、契約中の金融機関の窓口や住宅ローンアドバイザーなど、複数の専門家に相談し、条件を比較する。
住宅ローンの見直しは金融機関や住宅ローンアドバイザーなど専門家にご相談ください。仙台市内の不動産購入・売却の情報は売買物件情報はこちらから、住宅ローンや購入に関するその他の疑問はよくある質問でも確認できます。他の記事は不動産コラム一覧からご覧いただけます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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