仙台近郊では今も宅地と隣接した農地や山林が少なくなく、相続によってこうした土地を引き継ぐケースが増えています。「耕す予定も売れる見込みもないが、固定資産税だけかかってくる」という悩みを抱えるオーナーは多いです。本記事では、農地・山林の相続後に取るべき手順と選択肢を整理します。
農地・山林の相続登記は義務化されている
2024年4月から相続登記が義務化されました。農地や山林であっても、所有権を取得したことを知った日から3年以内に法務局へ登記申請しなければなりません。怠ると10万円以下の過料が科されます。
農地・山林の相続登記で特に注意すべき点は、農地は農業委員会の許可が不要(相続は権利移転ではなく包括承継のため)という点です。宅地と同様に法務局へ相続登記を申請します。
固定資産税の納税義務者変更も、市区町村へ別途届け出が必要です。仙台市では「固定資産税現況変更届」を市税事務所に提出します。
農地を扱う3つの選択肢
農地を相続したあとの主な選択肢は、①売却、②賃貸(農地貸付)、③転用の3つです。
①農地の売却
農地の売買は農地法第3条に基づき、農業委員会の許可が必要です。仙台市の農業委員会に申請書を提出し、売却先が農業従事者であることが条件になります。一般の不動産業者を通じた売却は農地のまま行う場合には難しく、農地転用(後述)が前提になるケースが多いです。売却の全体的な流れは不動産売却ガイドでも詳しく解説しています。
②農地の賃貸(農地貸付)
農地を農業従事者へ貸し出すことができます。農地法に基づき農業委員会への届出が必要ですが、借主が見つかれば一定の収入を得ながら維持できます。ただし、条件が合わない限り借り手が見つかりにくいことも事実です。
③農地転用(宅地・雑種地へ転換)
農地を宅地・駐車場・雑種地などに転用することで、一般の不動産として売却・活用しやすくなります。農地転用には農地法第4条・第5条に基づく県知事(市街化区域は農業委員会届出)への申請が必要です。
市街化区域内の農地であれば農業委員会への「転用届出」で比較的容易に転用できますが、市街化調整区域・農業振興地域の農地(いわゆる「青地」)は転用規制が厳しく、許可取得に時間と費用がかかります。
山林の相続と活用方針
山林(林地)は農地と異なり売買に特別な許可が不要なため、売却自体はより自由に行えます。ただし、現実には買い手が少なく、特に仙台近郊の宅地化できない山林は流動性が低いです。
山林の主な活用策
自治体への寄付・相続土地国庫帰属制度の活用:2023年4月施行の「相続土地国庫帰属制度」を利用すると、相続した土地を国に引き取ってもらえる可能性があります。山林は対象になりやすい土地ですが、管理費相当額の負担金(一定面積以上は20万円以上)が必要です。
森林経営管理制度:市町村が窓口となり、管理が行き届いていない山林の管理委託や経営委託を受け付けています。仙台市でも受付窓口があります。
売却・境界確定:山林売却の前提として、隣地との境界確定(測量)が必要になることが多く、費用と時間がかかります。
農地・山林の固定資産税
農地の固定資産税は、宅地より評価額が低く設定されています。仙台市近郊の田・畑は宅地の数分の一の税額が一般的です。ただし、転用後は宅地並みの課税に変わるため注意が必要です。
山林の固定資産税も比較的低額ですが、放置したまま管理不全になると「特定空き家」ならぬ「特定管理不全土地」として指定される可能性が今後高まります。
相続放棄との関係
相続するとマイナスの財産も引き継ぐため、農地・山林の管理コストが負担になると判断した場合は相続放棄も選択肢です。ただし、相続放棄後も「占有者」として相続財産管理人が選任されるまでの間は管理義務が残る場合があります。また、相続放棄すると他のプラス財産(現金・建物等)もすべて放棄することになるため、慎重な判断が必要です。
まとめ:農地・山林相続の流れ
- 相続登記申請(3年以内・法務局)
- 固定資産税変更届(市税事務所)
- 活用方針の検討(売却・貸付・転用・国庫帰属)
- 農地転用が必要な場合は農業委員会へ申請
- 山林は境界確定→売却または管理委託
農地・山林の扱いは通常の不動産より専門知識が必要です。仙台市内および近郊の農地・山林の相続についてお困りの方は、農業委員会や土地家屋調査士など専門家への早めの相談をおすすめします。農地・山林の売却をご検討の場合、エムアセッツでは売却のお問い合わせを受け付けており、地元の信頼できる仲介会社である株式会社松栄不動産をご紹介しています。詳しくはお問い合わせよりご連絡ください。相続にまつわるその他の疑問はよくある質問、その他の相続関連コラムは不動産コラム一覧もあわせてご覧ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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