解約予告を誤ると余分な家賃を支払う羽目に
仙台で賃貸住宅に住んでいる方が引越しを決めた際、意外と見落とされがちなのが「解約予告のタイミング」だ。多くの賃貸契約書には「退去の◯か月前までに書面で通知すること」という解約予告条項が記載されている。この手続きを誤ると、すでに退去した部屋の賃料を予告期間が満了するまで支払い続けなければならない事態が生じる。
本記事では、退去通知(解約申し入れ)の法律上のルール、契約書上の条件、正しい手続きの流れ、注意点を整理する。
法律上の解約予告期間
普通借家契約における解約(解約申し入れ)について、借地借家法は以下のように規定している。
借主(入居者)からの解約:借主は、いつでも解約の申し入れをすることができ、解約申し入れから3か月後に賃貸借契約が終了する(借地借家法27条1項)。
ただし、民法617条は「賃料が月払いの場合、解約の申し入れは次の賃料支払い期限の1周期前(つまり1か月前)までにする」と定めている。借地借家法と民法の関係については、借地借家法が優先されるのが原則だが、借主からの解約については民法の「1か月前」が実務的に適用される場合もある。
実務上の多数派は「1か月前」または「2か月前」
仙台の賃貸市場で流通している多くの契約書では、「退去希望日の1か月前」または「2か月前」に書面で通知することが求められている。この契約上の予告期間が、法律上の予告期間(最低1か月)より長い場合は契約条件が優先される。
契約書の確認が最優先
退去を決めたら、まず手元の賃貸借契約書を確認しよう。
確認すべき条項
- 解約申し入れの期限(「◯か月前まで」)
- 通知の方法(書面・メール・FAXなど)
- 提出先(管理会社・貸主の連絡先)
よくある契約書の記載例
- 「賃借人が本契約を解約しようとするときは、◯か月前に賃貸人に書面で通知する」
- 「解約申し入れは退去予定日の2か月前までに管理会社所定の書面にて行うこと」
予告期間が2か月の場合、引越し予定日の2か月以上前に通知しなければ、その分の賃料が余分に発生する。
解約通知書の書き方
解約通知は書面で行うことが原則だ(口頭では後々トラブルになるリスクがある)。管理会社が「退去届」「解約届」などの書式を用意していることも多いので、まず管理会社に書式の有無を確認しよう。
書式がない場合の自作の解約通知書に含める内容
- 作成日
- 宛先(貸主名または管理会社名)
- 差出人(氏名・住所)
- 物件の所在地・部屋番号
- 退去予定日(引渡し日)
- 解約の申し入れである旨の明記
- 署名・捺印
書面の送付方法としては、メールの場合は開封確認の機能を使う、郵送の場合は配達証明付き内容証明郵便が最も確実だ。管理会社によってはオンラインフォームや電話連絡後の書面提出で対応しているところもある。
解約予告のタイミング計算例
【例】契約書の予告期間が2か月の場合
- 引越し予定日:3月31日
- 解約通知の締め切り:1月31日まで(2か月前)
- 1月31日を1日でも過ぎた場合:翌月(4月30日)まで賃料が発生する可能性がある
【例】契約書の予告期間が1か月の場合
- 引越し予定日:3月31日
- 解約通知の締め切り:2月28日まで(1か月前)
引越し業者の予約・新居の契約日程が固まったら、速やかに解約通知の期限を逆算しよう。特に繁忙期(2月〜3月)は物件探しや業者手配で忙しくなりがちで、解約通知が後回しになりやすい。
よくある失敗パターン
失敗1:口頭で「来月退去します」と伝えただけ
管理会社への電話・口頭の連絡だけでは解約申し入れとして認められない場合がある。必ず書面での提出を確認しよう。
失敗2:退去日を引越し完了日と勘違い
「退去日」=「鍵の返却日(引渡し日)」であることが多い。引越し作業が終わった後も鍵を保持していると、その期間の賃料が発生するケースがある。引越し後はできるだけ早く鍵を返却しよう。
失敗3:管理会社変更後に古い連絡先に送ってしまった
管理会社が変わっていることに気づかず、以前の連絡先に通知してしまうと、通知が有効に届いていないとみなされる恐れがある。現在の管理会社を契約書で確認しよう。
失敗4:月の途中で退去する場合の賃料計算
退去日が月の途中の場合、多くの契約では退去した日までの日割り計算となる。ただし契約書に「月単位での精算」と記載がある場合は月末まで賃料がかかることもある。
まとめ
賃貸住宅の解約予告は「契約書に定められた期間」が基本ルールだ。退去を決めたらすぐに契約書を確認し、期限内に書面で通知することが余分な賃料を支払わないための鉄則だ。通知の方法・タイミング・提出先を正確に把握することで、スムーズな退去手続きが実現する。不明な点は管理会社やエムアセッツ株式会社にお気軽にご相談いただきたい。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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