アスベストと賃貸物件の関係
アスベスト(石綿)は優れた耐火性・耐熱性・防音性を持つ建材として、1970〜80年代を中心に日本の建築物に広く使用されました。仙台でも同時期に建設された集合住宅・ビル・戸建て住宅の多くにアスベスト含有建材が使われている可能性があります。

2006年には石綿障害予防規則の改正によってほぼすべての用途でのアスベスト使用が禁止されましたが、それ以前に建設された建物には依然として残存しているケースがあります。
賃貸物件として利用される場合、アスベストは通常、封じ込められた状態(表面が塗料などで覆われているか、建材に封じ込められた状態)であれば健康への影響は限定的とされています。しかし、解体・改修工事や経年劣化によって飛散すると深刻な健康被害(中皮腫・肺がんなど)を引き起こすリスクがあります。
アスベスト含有の可能性が高い建築材料
以下の建材・箇所にアスベストが含まれている可能性があります。
外装・内装材
- スレート屋根材・外壁材:波形スレートや平板スレートに含まれる場合がある
- 窯業系サイディング(2004年以前製造品):外壁材として広く使用
- 珪藻土吹き付け材・吹き付けロックウール:天井・壁の吹き付け仕上げ
設備・構造部分
- 煙突・ダクトの断熱材:旧式の暖房設備に巻かれた断熱材
- 床材(ビニルタイル):1980年代以前のビニルタイルの一部に含有
- シーリング材・ジョイント材:配管接合部などに使用された古いシーリング材
建物全体の吹き付け材
- 吹き付けアスベスト:大型建築物の鉄骨に耐火被覆として直接吹き付けられたもの。最も危険性が高い
築年数による目安
アスベスト含有可能性の目安は以下のとおりです。
- 1975年以前建設:吹き付けアスベストが使用されている可能性が高い
- 1975〜1989年建設:吹き付けアスベストは減少しているが、他の部位(スレート・床材等)への含有はあり得る
- 1990〜2006年建設:アスベスト含有建材の使用は法規制により減少しているが、一部製品には残存
- 2006年以降建設:原則としてアスベスト含有建材の使用は禁止
仙台市内で現在も賃貸として利用されている築35年以上(1991年以前建設)の物件については、特に注意が必要です。
賃借人(入居者)として確認すべきこと
賃貸借契約前の確認事項
入居前に不動産会社・オーナーに以下を確認することをおすすめします。
- 石綿含有調査報告書の有無:建物の規模(一定規模以上)によっては調査が義務付けられています。既に実施済みの場合は報告書を確認させてもらいましょう。
- 過去の改修・改装工事の履歴:アスベスト含有建材に触れる工事が適正に行われたか
- 天井・壁・床などの状態:目視で確認できる吹き付け材の損傷・剥離がないか
入居中の注意点
通常の居住用途での生活においては、封じ込め状態の建材からアスベストが飛散することは通常ありません。しかし以下のような場合には注意が必要です。
- DIY・穴あけ・壁への釘打ちなど:アスベスト含有壁材や床材を傷つけることで飛散リスクが高まる可能性
- 天井の傷・剥離を発見した場合:速やかに管理会社・オーナーに連絡し、専門家による確認を依頼する
- 改装・リフォームを要望する場合:工事前に石綿含有調査を実施してもらうよう要請する
賃貸オーナーとしての法的義務
石綿含有調査の義務(2022年改正)
2022年4月施行の改正大気汚染防止法により、一定規模以上の建物を解体・改修する際には石綿含有の有無の事前調査が義務化されました。また調査結果の都道府県等への報告義務も強化されています。
仙台市内の物件を解体・大規模改修する予定のあるオーナーは、宮城県または仙台市の担当窓口に確認のうえ、必要な手続きを適正に行う必要があります。
賃借人への告知義務
賃貸借契約において、物件にアスベスト含有建材が使用されていることを知っている場合は重要事項として告知する義務があります。不動産会社を通じた仲介の場合も、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明において適切に説明されなければなりません。
調査を行うべきタイミング
- 解体・大規模改修の前:法律上の義務。無視すると罰則あり
- 建物売却前:適切な価格設定と将来的なトラブル防止のため
- 入居率低下時・空室対策:老朽化した物件の安全性をアピールするために実施する場合も
アスベスト調査・除去の費用感
アスベスト調査・対応にかかる費用の目安は以下のとおりです。
- 含有調査:一般的なマンション1棟(10戸程度)で10〜30万円程度
- 封じ込め工事(塗料等でコーティング):数万〜数十万円
- 除去工事:範囲・工法によって大きく異なるが、一般的に封じ込めより高額
宮城県・仙台市ではアスベスト関連の相談窓口が設けられており、認定調査機関の紹介なども行っています。まずは相談窓口への問い合わせから始めましょう。
まとめ
仙台でも多くの築古物件が現役の賃貸物件として利用されており、アスベスト問題は決して遠い話ではありません。入居者としては、内見時の目視確認や契約前の質問で安心感を得ることが重要です。オーナーとしては、法令を遵守した適切な対応が自分自身の保護にもなります。
エムアセッツでは、安心して住める物件のご案内と、オーナー様向けの建物管理に関するご相談も承っています。アスベストについて不安な点がある方は、お気軽にご相談ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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