賃貸管理にDXが求められる背景
少子高齢化と人口減少が続くなか、仙台市内でも賃貸物件の供給過多が進みつつあります。空室を埋め、優良入居者を確保し、長期間安定した賃貸収入を維持するためには、物件の価値向上だけでなく管理業務の効率化も欠かせません。
特に自主管理を行うオーナーや、複数棟を保有する投資家にとって、入居者対応・家賃管理・修繕履歴・契約書管理などを紙やExcelで行うことは、業務量の増加とともに限界を迎えます。こうした課題を解決する手段として、クラウド型の賃貸管理システムが注目を集めています。
クラウド賃貸管理システムとは
クラウド型賃貸管理システムとは、インターネット経由でアクセスできるソフトウェアで、物件管理に必要な機能をひとつのプラットフォームに集約したものです。PCだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセスできるため、外出先からでも入居者対応や修繕依頼の確認が可能です。
主な機能
家賃管理・入出金管理:入居者ごとの家賃入金状況をリアルタイムで確認できます。滞納が発生した場合のアラート機能を持つシステムもあり、早期対応が可能です。
契約書・書類管理:賃貸借契約書・重要事項説明書・更新書類をデジタルで一元管理します。電子署名・電子契約との連携により、郵送や窓口来訪の手間を省けます。
修繕・メンテナンス管理:入居者からの修繕依頼を受け付け、業者への発注履歴・費用・完了日を記録します。設備の定期点検スケジュール管理も可能です。
入居者コミュニケーション:システム内のメッセージ機能を使い、入居者との連絡をデジタル化します。LINEやメールとの連携に対応したシステムもあります。
収支レポート:物件ごと・全体の収支をグラフや帳票で自動生成します。確定申告の際の経費計算にもデータを活用できます。
主なクラウド賃貸管理システムの比較
いえらぶCLOUD
不動産業者向けに普及している総合管理プラットフォームです。管理会社が利用することが多いですが、オーナー側ポータルとして物件収支・修繕履歴の閲覧機能を提供しているケースがあります。
オーナーズエージェント(Owner's Agent)
賃貸管理会社が業務に使うシステムですが、オーナーへの報告・精算書発行機能が充実しており、委託先管理会社が利用している場合、オーナーも閲覧ポータルを持てます。
MAST(マスト)・ReNest・MonthlyRent系
自主管理オーナー向けに特化したシンプルなクラウドサービスも登場しています。月額数千円から利用でき、入金管理・書類保管・入居者連絡を一元化できます。
スプレッドシートとの連携
完全クラウドシステムへの移行が難しい場合、まずGoogleスプレッドシートでの家賃管理自動化から始める方法もあります。入金データをGASで自動集計するなど、低コストで一定の効率化が図れます。
自主管理オーナーへの導入効果
仙台市内でワンルーム〜1LDKを数室保有するオーナーが自主管理する場合、月次の家賃確認・入居者対応・修繕連絡だけでも相当な工数がかかります。クラウド管理システムを導入することで期待できる効果は以下のとおりです。
業務時間の削減:家賃の入金確認・滞納チェックに毎月数時間かけているオーナーが、システム導入後は30分以内に完了するケースが報告されています。
書類紛失の防止:紙の契約書を誤って廃棄・紛失するリスクがなくなります。過去の修繕履歴も検索可能なため、退去精算時の根拠確認が容易になります。
入居者満足度の向上:修繕依頼をアプリやメッセージで受け付けることで、入居者の連絡手段が多様化します。対応履歴が残るため「言った・言わない」のトラブルが減ります。
会計ソフトとの連携:freeeやマネーフォワードクラウド会計と連携することで、賃貸収入・経費を自動で記帳し、確定申告の負担を大幅に軽減できます。
管理委託オーナーへの活用法
管理を不動産会社に委託しているオーナーでも、DXの恩恵を受けることができます。委託先の管理会社がオーナーポータルを提供している場合は積極的に利用しましょう。
月次報告のペーパーレス化:管理会社から毎月届く収支報告書がPDF・Web閲覧に移行していれば、郵便物の管理が不要になります。
修繕対応の透明性:修繕依頼から対応完了まで、作業内容・写真・費用がシステムで記録・共有されるため、オーナーは事後確認がしやすくなります。
物件のポートフォリオ管理:複数の管理会社に委託している複数棟所有者は、自分で収支を一元管理するツールを別途導入することで全体把握が容易になります。
導入コストと選定のポイント
クラウド賃貸管理システムの費用感は以下のとおりです。
| 規模・用途 | 月額費用目安 |
|---|---|
| 自主管理(1〜5室) | 無料〜3,000円 |
| 自主管理(6〜20室) | 3,000〜10,000円 |
| 管理会社向け(30室以上) | 10,000円〜(規模による) |
選定時のポイントは以下のとおりです。
無料トライアルの活用:多くのサービスが30日〜90日の無料試用期間を設けています。実際に操作してみて、入力のしやすさ・レポートの見やすさを確認することが重要です。
サポート体制の確認:困ったときに電話・チャットで相談できるか確認します。特に初期設定時は手厚いサポートがあるかどうかが重要です。
既存ツールとの連携:利用中の会計ソフト・銀行振込サービスとデータ連携できるかを確認します。手入力の工程が多いと導入効果が薄れます。
セキュリティとデータ管理
クラウドシステムには入居者の個人情報が蓄積されるため、セキュリティ面の確認も不可欠です。
- 2段階認証:パスワード漏洩時の不正アクセス防止
- データ暗号化:通信・保存データの暗号化(SSL/TLS対応)
- バックアップ:データが自動バックアップされるか
- プライバシーマーク取得:事業者がPマーク・ISMS認証を持つか
まとめ
仙台で賃貸物件を経営するオーナーにとって、クラウド型管理システムの導入は業務効率化と収益改善の両面で大きな効果をもたらします。まず月額コストの低いシンプルなツールから始め、慣れてきたら機能を拡張していくアプローチが現実的です。管理委託中のオーナーも、委託先のシステム活用状況を確認し、オーナーポータルの利用やポートフォリオ管理ツールの導入を検討することで、物件経営の見える化が進みます。デジタル化は難しいものではなく、小さな一歩から始められます。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
仙台の不動産投資をお考えですか?
重量鉄骨造シャーメゾンの一棟売りアパートなど、収益物件の情報はこちらからご覧ください。
