仙台市内で「使っていない土地がある」「相続した土地を処分したい」と考えているオーナーにとって、土地売却時の税負担は大きな関心事です。そのような状況を後押しする制度として、「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除(100万円控除)」があります。本コラムでは、この特例の仕組みと適用要件、仙台市での活用事例について実務的な観点から解説します。
低未利用土地とは何か
「低未利用土地」とは、都市計画区域内にある土地のうち、利用されていないまたは利用の程度が周辺の土地と比較して著しく低い土地を指します(都市再生特別措置法第109条の2に基づく概念)。具体的には次のような土地が該当しやすいとされています。
- 長年放置されている空き地・更地
- 空き家が建っているが実質的に活用されていない土地
- 駐車場として利用しているが稼働率が非常に低い土地
- 倉庫・物置程度しか使われていない土地
「周辺と比べて利用の程度が著しく低い」かどうかは、土地の現況・構造・用途などをもとに市区町村が判断します。売却前に市区町村の担当窓口へ「低未利用土地等確認書」の発行を申請することが手続きの前提となるため、事前確認が重要です。
100万円特別控除の仕組み(制度の概要と経緯)
この制度は、空き地・空き家問題を解消し土地の流動化を促進することを目的として、令和2年7月1日から施行されました(租税特別措置法第35条の3)。個人が一定の要件を満たす低未利用土地等を売却した場合、その長期譲渡所得から最大100万円を控除できる特例です。
譲渡所得の計算は次のとおりです。
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除額(最大100万円)
たとえば、取得費100万円・譲渡費用20万円の土地を400万円で売却した場合、特別控除なしの譲渡所得は280万円となりますが、この特例を適用すると課税対象は180万円に圧縮されます。長期譲渡所得の税率(所得税15%+住民税5%=合計20%)で計算すると、最大20万円程度の節税効果が見込めます。
なお、当初の適用期限は令和4年12月31日でしたが、その後延長が繰り返され、令和8年度税制改正においても適用期限がさらに3年間延長される方向で大綱に盛り込まれています。
適用要件を詳しく確認する
この特例を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
1. 長期保有(所有期間5年超)
売却した年の1月1日時点で、その土地の所有期間が5年を超えていること。短期保有の土地は対象外です。
2. 都市計画区域内の低未利用土地等であること
市街化区域・市街化調整区域を問わず都市計画区域内に所在する土地が対象です。仙台市全域は都市計画区域に含まれるため、この要件は比較的クリアしやすいといえます。
3. 売却価格が上限以下であること
基本的な上限は500万円以下(土地と建物の合計)です。ただし、市街化区域または都市計画法に基づく用途地域が設定された区域内にある土地については800万円以下に上限が引き上げられています(令和5年度税制改正による拡充措置)。仙台市の市街地エリアにある土地であれば800万円以下の上限が適用されるケースが多くあります。
4. 売買当事者が特別の関係にないこと
親子・夫婦・生計を一にする親族などへの売却は対象外です。法人への売却も、その法人の役員や株主が親族である場合は適用外となります。
5. 売却後に土地が利用されること(買主による利活用)
売却後、買主がその土地を「低未利用」状態のまま放置しないことが条件です。具体的には、売却の翌年1月15日までに市区町村の長が発行する「確認書」において、利活用が確認されることが求められます。
6. 同一筆から分割した土地への重複適用の禁止
売却年の前年または前々年に、同じ元の土地(一筆)から分筆された土地についてこの特例を受けていないことが必要です。
7. 他の譲渡所得特例との併用不可
3,000万円特別控除(マイホーム売却時)や相続空き家の特別控除など、他の長期譲渡所得の特例とは重複して適用できません。
手続きの流れ(確定申告と必要書類)
この特例を受けるためには確定申告が必要です。以下の流れで進めます。
ステップ1:売却前の事前確認
売却を検討している土地が「低未利用土地等」に該当するかどうか、仙台市の担当窓口(都市整備局や各区の窓口)に事前相談します。
ステップ2:市区町村の「確認書」取得
売却後、仙台市に対して「低未利用土地等確認書」の交付を申請します。この確認書は確定申告の添付書類として必須です。確認書には、当該土地が低未利用土地等であること、および売却後に買主が利活用する見込みであることが記載されます。
ステップ3:確定申告書の提出
売却した翌年の2月16日〜3月15日の期間に確定申告を行います。確定申告書には以下の書類を添付します。
- 市区町村が発行した「低未利用土地等確認書」
- 譲渡所得の内訳書(取得費・譲渡費用の明細)
- 売買契約書のコピー
- 登記事項証明書など所有権・所在を証明する書類
税務処理に不安がある場合は、税理士または仙台税務署に相談することをお勧めします。
仙台市での活用シーンと注意点
仙台市は政令指定都市であり、市街化区域や用途地域が広く指定されています。そのため、売却価格の上限が800万円に拡充された特例措置の適用を受けやすい環境にあります。
特に以下のようなケースで活用実績が多い傾向にあります。
- 相続した空き地の処分: 親から相続したが自身では活用できない土地を売却する場合。所有期間が相続前から通算されるため、5年超の要件を満たしやすいです。
- 郊外の低稼働駐車場: 仙台市郊外の月極駐車場で、空き区画が多く収益性が低い土地。周辺と比べて利用度が低いと判断されれば対象になり得ます。
- 古い倉庫・物置が残る土地: 実質的に機能していない建物が残る場合も、建物込みで500万円(または800万円)以下であれば適用範囲内です。
一方で注意点もあります。売却価格上限(800万円)には土地と建物の合計が含まれる点、そして売却後の「利活用確認」のタイムリミット(翌年1月15日)は意外と短く、買主の計画が具体化していないと確認書の取得が難しくなるケースがあります。また、複数年にわたって同一エリアの土地を分割売却するケースでは、重複適用禁止ルールに抵触しないよう注意が必要です。
まとめ
低未利用土地等の長期譲渡所得100万円特別控除は、仙台市内で使っていない土地・空き地を売却する際に有効な節税措置です。所有期間5年超、売却価格500万円〜800万円以下(エリアによる)、市区町村の確認書取得、確定申告という手順を踏む必要がありますが、適切に活用すれば最大20万円程度の税負担軽減が期待できます。
「うちの土地はこの特例を使えるのだろうか?」とお考えの方は、ぜひエムアセッツ株式会社のオンラインお問い合わせフォームからご相談ください。仙台市内の土地売却に関するご質問に対して、専門的な観点からサポートいたします。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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