不動産の生前贈与と贈与税
不動産を生前に子供や孫に贈与することは、相続税対策として有効な手段です。ただし贈与には「贈与税」がかかるため、適切な方法を選ばないと高額な税負担が生じます。
仙台市内の不動産、特に青葉区上杉や青葉区錦町、宮城野区などの市街地の物件は評価額が高い傾向にあるため、贈与税の節税方法を理解しておくことが重要です。
不動産の評価額は、市場での取引価格そのものではなく、土地は路線価や固定資産税評価額、建物は固定資産税評価額をもとに算定されるのが一般的です。市場価格と評価額に差が生じることもあるため、贈与を検討する段階で、対象不動産がどのように評価されるのかをあらかじめ把握しておくと、その後の資金計画や税額の見通しを立てやすくなります。
贈与税の基本:暦年課税
暦年課税では、1年間(1月1日〜12月31日)に贈与された財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残額に贈与税がかかります。
110万円以下の贈与であれば毎年無税で贈与できるため、長期間にわたって少しずつ贈与し合計額を抑える方法として「暦年贈与」が活用されています。
注意点(2024年改正):
2024年から相続前の暦年贈与の加算期間が3年から7年に延長されました。亡くなる前7年以内の贈与は相続税の計算に加算されるため、長期的な計画が必要です。
暦年贈与を実行する際は、贈与のたびに贈与契約書を取り交わし、現金の贈与であれば送金の記録を残しておくことが望まれます。不動産の持分を少しずつ贈与する場合は、贈与のたびに法務局で持分移転の登記を行う必要があり、その分の手間や費用が発生する点もあわせて考慮しておくとよいでしょう。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、一定の条件を満たした場合に2,500万円まで贈与税を非課税(課税の先送り)にできる制度です。
条件:
- 贈与者:60歳以上の父母・祖父母
- 受贈者:18歳以上の子・孫
仕組み:
贈与時は2,500万円の特別控除により非課税(超過分に一律20%課税)で贈与できますが、贈与者が死亡した際に相続財産に組み込まれて相続税が精算されます。
2024年改正による変更点:
2024年から相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が設けられました。これにより毎年110万円以内の贈与であれば、相続時の精算加算なしに贈与できるようになりました。
なお、相続時精算課税制度は一度選択すると、同じ贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことはできません。将来の贈与方針にも影響する選択となるため、家族全体の贈与計画を踏まえたうえで慎重に判断することが大切です。
不動産贈与に活用できる特例
住宅取得等資金の非課税特例
子供や孫が住宅を取得するための資金を贈与する場合、一定額が非課税になる制度があります。省エネ住宅の場合は非課税枠が大きくなります(制度の適用期限・限度額は年度ごとに変わるため、最新情報を確認してください)。
配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間であれば、居住用不動産またはその購入資金として2,000万円まで贈与税が非課税になる制度があります。
これらの特例は、暦年課税の基礎控除や相続時精算課税制度と組み合わせて使えるケースもあります。どの特例が自分たちの状況に当てはまるかは要件が細かく定められているため、利用を検討する際は事前に専門家へ確認することをおすすめします。
不動産贈与の手続きの流れ
不動産の贈与は、現金の贈与と異なり、名義変更の手続きが必要になる点が大きな特徴です。一般的な流れは次のとおりです。
- 贈与する不動産の評価額を確認する
- 贈与者・受贈者間で贈与契約書を取り交わす
- 法務局で所有権移転登記(名義変更)を行う
- 必要に応じて贈与税の申告・納付を行う
登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。また、不動産の贈与では贈与税以外にも登録免許税や不動産取得税といった税金・費用が発生します。贈与税の節税効果だけでなく、こうした諸費用も含めたトータルコストで比較検討することが実務上は重要です。
仙台の不動産贈与での具体的な試算例
例:評価額2,000万円の仙台市内のマンションを子供に贈与する場合
暦年贈与の場合:
毎年110万円分ずつ贈与した場合、約18年かけて全額を無税で移転できます。ただし、相続前7年以内の分は加算対象になる点に注意が必要です。
相続時精算課税制度の場合:
2,500万円の枠を使って一度に贈与した場合、2,000万円なら贈与税ゼロで名義変更できます。ただし、相続時に精算されます。
このように、同じ2,000万円の不動産であっても、選ぶ方法によって贈与税の負担や手続きの回数、名義変更が完了するまでの期間は大きく異なります。家族の年齢構成や不動産の今後の使い道(居住を続けるのか、将来売却する可能性があるのかなど)もあわせて考えたうえで、方法を選ぶことが望まれます。
どちらを選ぶべきか
| 状況 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 相続まで時間が十分ある | 暦年贈与(毎年少しずつ) |
| 不動産価格の上昇が見込まれる | 相続時精算課税(今の評価額で移転) |
| 高齢で早急に移転したい | 相続時精算課税 |
| 配偶者に自宅を渡したい | 配偶者控除の活用 |
| 住宅取得資金を援助したい | 住宅取得等資金の非課税特例 |
贈与を検討する際の注意点
不動産の生前贈与を進める際は、税額の大小だけでなく、家族間の公平性にも配慮が必要です。特定の相続人にだけ多額の不動産を贈与すると、将来的に他の相続人との間で遺留分をめぐるトラブルに発展することもあります。贈与を行う前に、家族間で方針を共有し、必要であれば専門家を交えて話し合っておくことが望ましいでしょう。
また、贈与税や相続税の制度は改正が重ねられているため、過去に調べた情報のままで判断すると、実際の税負担と見込みがずれてしまうことがあります。不動産の贈与を具体的に検討する段階では、税理士や司法書士など専門家に最新の制度内容を確認しながら進めることをおすすめします。
まとめ
仙台で不動産の生前贈与を検討する際は、暦年贈与と相続時精算課税の特性を理解した上で、家族の状況に合った戦略を立てることが重要です。2024年の制度改正があったため、過去の知識ではなく最新の情報をもとに税理士など専門家にご相談の上で進めることをおすすめします。
なお、贈与を受けた不動産を将来的に手放す可能性がある場合は、不動産売却ガイドもあわせてご参照ください。エムアセッツの会社概要や他の不動産コラム一覧もご覧いただけます。ご不明な点はお問い合わせはこちらからご連絡ください。
著者
森 信幸
代表取締役 / エムアセッツ株式会社
宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
仙台市青葉区を拠点に、シャーメゾンを中心とした高品質賃貸物件を所有・運営。全棟ペット可の方針で、入居者とペットが快適に暮らせる住環境づくりに取り組んでいます。
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